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zoom RSS ラサールSQのドビュッシー「弦楽四重奏曲」

<<   作成日時 : 2007/04/23 21:02   >>

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ドビュッシーとラヴェルというとフランス印象派として一括りにされがちですが、ラヴェルが「音の魔術師」という異名のとおり多彩で絢爛豪華な作風であるのに対し、ドビュッシーはもう少し透明で純粋なように思います。ぼくはどちらかといえばラヴェルよりもドビュッシーの方が好きなのですが、こと室内楽の分野に関しては弦楽四重奏曲、ピアノ・トリオと大傑作の存在するラヴェルの方が上ではないかと思っています。
ではドビュッシーの室内楽が大したことがないのかというとそういうわけではなく、あくまでラヴェルと比較しての話で、ドビュッシーも「フルート、ヴァオラとハープのためのソナタ」をはじめ、数は少ない(わずか4曲)ながら名作を残しているように思うのです。今日聴いてみたのは、ドビュッシー唯一の弦楽四重奏曲で、「フルート、ヴィオラ…」など他の室内楽が彼の晩年の作品であるのに対し、31歳と若い時代の作品です。演奏はラサール弦楽四重奏団で、1971年6月の録音です。

ドビュッシーの弦楽四重奏曲は、急―急―緩―急と、緩徐楽章が第2楽章ではなく第3楽章に置かれているという点がやや変則的ながら、古典的な4楽章編成を取っています。そして中身も、第3楽章は他の楽章と比べて穏やかなものになっているのです。ただし、この曲は一聴しただけで、ベートーヴェンを始めとするドイツ・オーストリア系の弦楽四重奏曲とはまったく別の音楽だということが分かります。作風は自由で色彩感に富み、作者が自然や文学・芸術、さらには人の感情から得たインスピレーションのままに自由に作曲されているのです。中でも神秘的な雰囲気の漂う第3楽章、各楽器が盛り上がを見せる第4楽章は、すばらしいと思います。
ただラヴェルの弦楽四重奏曲が全く完成された作品であるのに対し、ドビュッシーのこの弦楽四重奏曲はどこか未完成さを残しているように思います。これを聴いていると、ドビュッシーの創作に表そうとした内容はもう少し広いもので、彼が4楽章形式を窮屈に感じ、さらに2挺のヴァイオリンと1挺のヴィオラと1挺のチェロという弦楽四重奏曲の形式そのものを窮屈なものに感じているように思われるのです。彼が生涯に再び弦楽四重奏曲を書かなかったことが理解できるような気がします。結局ドビュッシーが創作しようとした内容は、古典的な弦楽四重奏の枠で捉えきれない斬新なものだったということではないでしょうか。

ラサールSQの演奏は精緻でしかも透明なもので、フランス的な香りとは無縁ですが、ぼくはこれに十分な満足しています。あのアルバン・ベルクSQもラサールSQに師事した経験があると聞きます。ラサールSQの実力を物語るエピソードでしょう。

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コメント(2件)

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アルトゥールさん、こんにちは! ドビュッシーの弦楽四重奏曲のご説明、まことに目から鱗が落ちる思いです。「だから、自分はラヴェルの方が好きなのか」と納得しました。
ラサールはまだ新ヴィーン楽派などごく一部の録音を知るのみで、名盤誉れ高いベートーヴェン後期やこのドビュッシーやラヴェルも聞いたことがありません。とても興味があるのですが、廃盤のようで…。
ところで、ゴールデンウィークはどこにも行けそうもないので(ラ・フォル・ジュルネ・ジャポンなど別世界?!)、言い訳として(笑)アルトゥールさんお薦めのタカーチ四重奏団によるベートーヴェン後期弦楽四重奏曲集を注文してしまいました!これまで高価で手を出していなかったのですが、今から楽しみです。
凛虞
URL
2007/04/26 18:41
凛虞さん、いつもコメント有難うございます。
ドビュッシーの弦楽四重奏曲は通常ラヴェルとカップリングされ、
いつも続けて聴いているので、これまではラヴェルは印象に残る
もののドビュッシーはあまり印象に残らないということの繰り返
しだったのですよ。それで今回ドビュッシーだけを聴いてみたん
ですが、やっぱりラヴェルの方がいいですね(笑)。ドビュッシ
ーの弦楽四重奏曲もそれなりに良い曲だと思いますが…。

ラサールSQは日本では人気が出なかったようですね。私も、新
ウィーン学派の他、ベートーヴェン後期、シューベルト、ドビュ
ッシー、ラヴェル位しか所有していませんが、他にメンデルスゾ
ーン、ブラームス等も録音していたと記憶しています。私の聞い
た録音はどれもすばらしいように思います。私も再発を期待して
います。
タカーチは実演を聴いたことがあるので贔屓目(耳)があるかも
しれません。ただ「レコード芸術」誌のレコード・アカデミー賞
を受賞しているので、専門家筋の評価も高いのだろうと思います。
アルトゥール
2007/04/26 20:27

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