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zoom RSS ロストロポーヴィチのドヴォルザーク「チェロ協奏曲」

<<   作成日時 : 2007/05/02 19:41   >>

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いささか古い話になりますが、先週4月28日の朝刊で20世紀を代表するチェリスト、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ氏(以下、「ロストロポーヴィチ」と省略します)が逝去されたことを知りました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

まず最初にぼくがロストロポーヴィチの良い聞き手でなかったことを告白しなければなりません。理由は、ぼくはヴァイオリンは最近取り上げたコーガンのようにばりばり演奏するタイプの人が好きなのですが、チェロはとろんとろんと演奏するタイプが好きなのです。
しかしロストロポーヴィチがものすごいテクニックの持ち主であり、そのスケールの大きな表現が桁外れのものであったことは、言うまでもありません。あのパブロ・カザルスはチェロの新しい可能性を開いたチェリストであるとすれば、ロストロポーヴィチはチェロの持つ可能性を極限まで示してくれたチェリストであったと思います。そして、異論はあるかと思いますが、チチェロの王者の系譜は、カザルス→ロストロポーヴィチ→ヨーヨー・マと続くのではないかと思うのです。

ロストロポーヴィチの代表的な録音を挙げるとすれば、何になるでしょうか。ぼくなら、リヒテルとのベートーヴェンのチェロ・ソナタ第3番、7種類もあるというドヴォルザークのチェロ協奏曲、そしてベンジャミン・ブリテンのチェロ・ソナタ、無伴奏チェロ組曲などを思い浮かべます。この中でベートーヴェンのチェロ・ソナタ3番は昨秋本ブログで取り上げた(ただしチェリストはカザルスでした。なお本ブログでは、同じ曲の異演は取り上げないことにしています)し、ブリテンの作品はちょっとマニアックなので、今日はドヴォルザークのチェロ協奏曲を聴いてロストロポーヴィチの雄姿をしのぶことにしました。
共演はカルロ・マリア・ジュリーニ指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、1977年4月から5月にかけてのEMIへの録音です。

このドヴォルザークのチェロ協奏曲は、古今を通じてのチェロ協奏曲の最高傑作であると広く認められ、全曲を通じて民俗的な美しいメロディにあふれています。第1楽章からたいへん魅力的ですが、第2楽章の独奏チェロが朗々と歌い上げる哀愁に満ちた美しいメロディはこの曲の白眉だといえるのではないでしょうか。この曲はその反面、チェリストにたいへんな力量が要求されるわけですが、ロストロポーヴィチが最もその資質を発揮することができる曲だと思います。彼の音自体のレンジが広く、スケール雄大な演奏スタイルはこの曲によく合っていると思うのです。合計7回も録音しているのは、彼自身がこの曲を得意としていたことの現れだと思います。

ぼくがその7回の録音のうち聴いたことがあるのは、5回目のカラヤンとの共演、この6回目のジュリーニとの共演、そして7回目の小澤征爾との共演です。この中でカラヤン盤が最も有名で、また小澤盤は、ロストロポーヴィチ自身が大変満足しこれ以上録音しないとレコード会社と約束を交わしたということで知られていますが、これら3種類の中でロストロポーヴィチがその実力を最大限まで発揮したのが今日聴いたジュリーニ盤ではないでしょうか。
このジュリーニ盤では、ロストロポーヴィチは、ジュリーニのゆっくりしたテンポの重厚な指揮に支えられ、やりたい放題といってよいほど自由自在な演奏を繰り広げます。強音と弱音の幅は非常に大きく、テンポを変え、あちこちで大きくヴィブラートをかけます。時にはうねりのようなものさえ感じじられます。第2楽章では自らの故郷である旧ソ連への思いをぶつけるかのように、朗々と歌います。非常に濃厚な演奏です。この演奏を聴いて、改めてロストロポーヴィチのすごさを実感した次第です。

しかしこれはぼくの憶測になりますが、ロストロポーヴィチ自身はこの演奏を「やりすぎ」だったと思っていたのではないでしょうか。1985年に小澤征爾と再録音したのは、彼のそのような考えが背景に合ったように思うのです。

このようなスケールの大きなロストロポーヴィチも今は亡くなりました。本録音のような残された録音で、時々彼の雄姿をしのび、その芸風を味わいたいものです。

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コメント(6件)

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アルトゥールさん、こんばんは!
ドヴォルザークの協奏曲、聞いたことがある録音3種も同じならば、愛聴盤も同じです(笑)。ロストロポーヴィチの録音はそれほど多くは知りませんが、協奏曲というジャンルでは、このジュリーニとのドヴォルザークが筆頭になるのではないかと思えるくらいです。(ただ、これが当時ジュリーニと密接な関係にあったシカゴ響であったら…と思ったりもしています。)
そう言えば、小澤盤を録音した後に「もうこの曲は録音しない」という約束状をエラートに出したとしてニュースになったことを思い出しました。
個人的なことになりますが、幸運なことにロストロポーヴィチはチェリスト、指揮者の両方を実演で聞くことができましたが、やはりあのサウンドと存在感は「王者」と思えるものがありました。
Niklaus Vogel
URL
2007/05/02 20:12
Niklaus Vogelさん、コメント有難うございます。
私もロストロポーヴィチの良い聴き手でないので、
あまり多く聴いていませんが、聴いた中では、この
ジュリーニとのドヴォルザークと、やはりEMIへ
録音したバーンスタインとのシューマン・ブロッホ
のカップリングがいいように思います。両方とも西
側に亡命してすぐの録音で、気合が入っていたのだ
ろうと思ったりします。
世評高い(?)リヒテルとのベートーヴェンは、3
番を除き曲を大きく演奏しすぎているような気が…。
旧メロディアには良い録音があったのかも知れませ
んね。
実演をお聴きになったとは羨ましいです。私は聞か
ずじまいで終わりました。昔から「暇がある時は金
がなく、金がある時は暇がない」というパターンに
陥っているのです。
アルトゥール
2007/05/02 21:30
 アルトゥールさん、今晩は。ドボルザーク「チェロ協奏曲」大好きです。繊細で癒されますね。残念ながら ロストローヴィチ は持っていません。今、手許にあるのは、私の若い頃よく聴いた リン・ハレル なんですよ。ところで アルテゥールさん がお書きになった、パブロ・カザルス→(私の場合は次に)ミーシャ・マイスキー が来ます。勿論次のチェリストは ヨー・ヨー・マ です。ここは同じです。やはり私みたいなじいさんは駄目ですね。全て古いものにしがみついている。私の大好きなチェリスト、藤原真理さんも(婆さんに・・・いや失礼)お年をとってしまって・・・お若い頃きれいでした、官能的で。家内が夢中になった、N響の徳永兼一郎さんもお亡くなりになり・・・この時はお互いに精神的な浮気をしていたんですね、きっと。時代は流れています。今、美空ひばりさん を聴いております。素晴らしいの一言です。又、共通の話題に遭遇致しましたらお邪魔させてください。くだらないコメントで失礼致しました。
my favorite stories
2007/05/03 20:16
my favorite storiesさん、いつもコメントを
ありがとうございます。
私はチェロはとろんとろんと演奏する人が好きなので、
実はミーシャ・マイスキーは大好きです。マイスキー
は実演も2回行ったことがあります。ただテクニック
という点では、マイスキーよりヨーヨー・マの方が少
し上かなという印象を持っています。
藤原真理さんは、私も若い頃あこがれていました。今
もお綺麗でいらっしゃると思います。ただ若さプラス
きれいなのは、今では長谷川陽子さんでしょうか。

私の妻は今でも、自分より20歳近く若い芸能人やス
ポーツ選手に憧れていますが、私は若い女優さんや歌
手のことはわからず、いまだに学生時代に人気絶頂だ
った松田聖子さんの歌を聞いたりしています。my
favorite storiesさんにとっての美空ひばりさんと同
じような存在なのだろうと思います。夫婦というのは
百種百様ですね…。
アルトゥール
2007/05/03 21:06
こんばんは

私は学生時代にオケでチェロを弾き始めた頃はロストロ弾きでした。

今はウェッバーや某女性チェリスト(藤原さんではないです)のとろんとろんの音の出し方が気に入っています。

でもドヴォコンは郷愁をこめて情熱的に歌いたいですね。
そういう意味ではロストロポーヴィチに良くあっていたと思います。

私が聞いていたのは7回の録音の始めの頃のソ連時代の録音でした。
全部聴いていないのでそのうちいろいろなドヴォコンを聞いてみようと思います。


ダンベルドア
2007/05/16 00:04
ダンベルドアさん、コメント有難うございます。
私もドヴォコンばかりは、情熱的で雄大な演奏が良いかな…
と思います。ロストロポーヴィチの演奏は、これからも聴き
続けるだろうと思います。

私の場合、活躍中の生前にあまり共感できず、亡くなってし
ばらくしてからその良さが分かるという演奏家がいます。カ
ラヤンがその典型でした。ロストロもそういう存在になるよ
うな気がします。時間ができたら、彼が旧メロディアに録音
したプロコフィエフ、ショスタコーヴィチなども聴いてみた
いと思っています。
アルトゥール
2007/05/16 18:56

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