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zoom RSS ハンガリーSQのベートーヴェン「弦楽四重奏曲第14番」

<<   作成日時 : 2008/07/29 22:09   >>

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先週のベートーヴェン「ラズモフスキー第3番」、シューベルト「死と乙女」に続いて、今日も重量感のある弦楽四重奏曲を聴きました。ベートーヴェンの第14番です。演奏はハンガリー弦楽四重奏団の1966年録音です。

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲というと、1980年半ばまでは「ラズモフスキー弦楽四重奏曲」が有名で、後期の弦楽四重奏曲は難解だとして敬遠され気味だったように思います。しかしCD時代に入って以降は、後期の弦楽四重奏曲も広く聴かれ、名曲揃いだと認知されるようになりました。とりわけこの第14番嬰ハ短調がベートーヴェンのすべての弦楽四重奏曲の中での最高傑作だと認識されるようになったように思います。

この曲はベートーヴェンの弦楽四重奏曲の中でも最も多い7楽章編成で、各楽章が切れ目なく続くというのですから、もう完全に従来の弦楽四重奏曲様式を逸脱しています。ベートーヴェンが世俗的な事柄と無関係な何ものにも捕われない自由な心境で作曲したことを窺うことができます。
しかも第1楽章がいきなりフーガで始まるのですから、もう完全に型破りです。この第1楽章ですが、遠くで仏寺の鐘が鳴るのが聞こえてくるような、あるいは読経の声を聞くような、どこか東洋的な気配が感じられないでしょうか。当時はまだ東洋の文物は入ってきておらず、ベートーヴェンが東洋的精神を知る由もなかったわけですが…。

第2、3楽章は短く軽快で、全曲の中心となる第4楽章への橋渡しと考えられます。
その第4楽章は全7楽章の中で最も長く、変奏曲形式が取られています。晴朗で、静かで、淡々としていて、どこか瞑想的で、どこかすべてを超越したかのような趣があります。ベートーヴェンの書いた弦楽四重奏曲の楽章の中では、第13番の第5楽章や第15番第3楽章と並び、最も美しいものでしょう。

そして第5、6楽章がまた短くなります(ただし第5楽章は一言で片づけてはいけないダイナミズムを持っていますが…)。最後の第7楽章は、第1楽章と同じ嬰ハ短調で、かっちりとした力強い音楽になります。曲の前半ではずっと自由で柔軟だったこの曲が、最後に来て精力的な音楽になるのは、何を物語っているのでしょうか。

ハンガリーSQの録音は、同団体の再録音のようですが、全くすばらしいものです。静かな枯淡の演奏ですが、その
中での第1vnのゾルダン・セーケイの歌い回しには心惹かれます。
また第4楽章での各奏者のやり取りなどは、もう神業と言っていいくらい巧いものです。最後の第7楽章で遅めにきっちりとリズムを刻んでいるのも良いと思います。
ぼくにとっては、一生座右の置いておいて聴きたい演奏です。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
アルトゥールさん、こんばんは!
期せずして本日は同じ曲を採り上げたことになりましたね(笑)。
これまでアルトゥールさんがお気に入りとして挙げられていた第14番の録音は、「最終楽章がいくぶん軽めなタイプかな…」と勝手に予想していたのですが、このハンガリー四重奏団による再録音はその正反対、重厚(軽やかさも兼ね備えていますが)な演奏ですね。
もちろん、第1楽章の枯淡さから引き込まれますし(この演奏で聞くと、仰るようにまさに東洋的ですね!心洗われる水墨画のようです)、全編を通してセーケイの妙技には唸らされます。独奏者として輝かしいキャリアを誇りながらも、このカルテットに生涯をささげたことに感謝の念が絶えません。
凛虞
URL
2008/07/29 23:03
こんにちは。
後期四重奏曲で最初に聴いたのが15番でした(スメタナの旧盤)
あまりの素晴らしさに感激、同じくスメタナの14番を買い求めたのですが
こちらは何回か聴いてみても??ちんぷんかんぷんでした。
そんなわけで暫く聴くことも無かったのですが、ある日ブタペストの演奏をFM放送で耳にた時、突然視界が開けたように一音一音が心に入ってきたことを覚えています。
以来14番は16番とともに最も好きな曲になりました。
残念ながらハンガリー四重奏団のは未聴です
普段はブダペストのステレオ盤のほうを、そして年に数回はカペーの演奏を取り出します。古くさいとかの批判はあるようですが唯一無二の世界だと思います
Lacroix
2008/07/30 10:10
凛虞さん、コメント有難うございます。
私がエントリーする演奏は、その日の気分で聴いてみた録音
で、自分でベストと考えている録音と必ずしも一致しません。
そのためバラバラなエントリーになっています。
ハンガリー四重奏団の録音は、セーケイ(彼はバルトークの
ヴァイオリン作品も演奏していた腕達者でしたね)の語り口
が何とも言えない魅力を湛えていますね。14番に限らずベー
トーヴェンの後期は特に良いと思います。
以前凛虞さんの仰っていたベートーヴェン全集の旧録音が復
活するのを待ち望んでいます。
アルトゥール
2008/07/30 17:30
Lacroixさん、コメント有難うございます。
私も、ベートーヴェンの後期を聴き始めた頃は、14番より15番
の方が聴きやすかったのを覚えています。また今でも15番より
14番の方が好きなわけではなく、後期の5曲はどれも甲乙つけ
がたいほど好きでいます。
ブダペストSQのステレオ盤のかっちりと風格のある演奏、私
も大好きでいます。同SQの演奏はベートーヴェンだけでなく、
ブラームスやモーツァルトも持っています。
カペーSQは残念ながらまだ聴いたことがありません。が、良
いという評判は聞いています。いちど聴いてみたい団体です。
アルトゥール
2008/07/30 17:45

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