クラシック音楽のある毎日

アクセスカウンタ

zoom RSS グールドのJ.S.バッハ「フランス組曲第1〜4番」

<<   作成日時 : 2008/08/30 21:24   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 6

今日の東京は、天気予報では1日中雨でしたが、実際には雨が降ったり止んだり、時には晴れ間も出たりという奇妙な気候でした。
いよいよ夏が終わりに近づいています。ぼくは夏の終わるというと特別の寂しさを感じます。夏が終わるというと、その1年のクライマックスが終わるように感じるのです。

さて今日は、グレン・グールドの演奏するバッハの「フランス組曲」第1番BWV812から第4番BWV815までを聴きました。録音は第1番と2番が1972年11月、3番が72年12月、73年2月、4番が73年2月とのことです。「フランス組曲」6曲の中で最も親しみやすいメロディで有名な第5番と6番が含まれていないのは、1番から4番までがちょうど1枚のCDに入っていたからです。

さてグールドの演奏を聴いて改めて彼の天才ぶり、その鋭敏な感受性に驚嘆させられました。彼はある時は早めのテンポで生き生きと、ある時はじっくりと歌いこみ、またある時は心やさしく鍵盤を奏でます。しかしこの録音に収められた演奏が彼の唯一の解釈であるはずはありません。彼は、同じフランス組曲のどの曲、どの楽章、どの小節にもまた違った解釈をしてみせることが可能だと思うのです。グールドなら、大げさに言えば、十種類以上もの違った演奏をしてみせることが可能なのではないでしょうか。
グールドのデビュー当時「ジャズ的」だという批判があったと聞いたことがあります。これは、演奏家は楽譜から確信を持って唯一の解釈を引き出さなければならないという観点からのものではないでしょうか。
しかしグールドは断じて、楽譜を軽視しているわけではありません。彼はバッハの楽譜から様々な可能性、無限の可能性を読み取り、見出していると考えるべきなのではないでしょうか。

ぼくはバッハの鍵盤楽器のための作品はチェンバロで聴くことが多かったのですが、グールドのピアノ演奏からはチェンバロではなかなか表現困難なニュアンスとか可能性の豊かさが感じられるように思うのです。だからといって、グールドがチェンバロでの演奏よりも優っているなどと言うつもりはありませんが…。

ところで、ぼくは年頭、今年はバッハ、ハイドン、それにショスタコーヴィチをじっくり聴いていきたいと思いました。最近痛感するのは、バッハの音楽の豊かさです。
器楽曲だけで相当な曲数がありますが、その中に凡作など一度も聴いたことがありません。モーツァルトが生涯に1作も凡作を書かなかったというのは有名な話ですが、バッハにも同じことが言えるのではないでしょうか。これでは声楽曲(これも膨大な曲数があります)まで手が回りません。
バッハはきっと、音楽を愛する者が生涯かけて登り続けなければならない、そのうえ頂上のない、巨大な山なのでしょう。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
グールドのバッハはどれも素晴らしいですね。
そして仰るようにバッハの音楽自体の素晴らしさと豊かさ!
CDはそこそこの枚数あつめましたが、
まだその高峰のふもとにもたどり着いた気がしません。
私も生涯かけて、のんびりと、
登れるところまで登りたいと思ってます。
木曽のあばら屋
URL
2008/08/31 20:30
木曽のあばら屋さん、お久しぶりです。
コメントを頂き有難うございます。

バッハは作品数が膨大なので、私はいくらCDを買っても
ほしいCDもどんどん増えていっているという有様です。
バッハはチョモランマの高踏というより、ヒマラヤ山脈そ
のものではないかとも思います。見回すとあちこちに高踏
があるような山脈のような気がします。
私も木曽さんと同じく、バッハとは一生の付き合いになる
と思っています。一生かけてのんびりと付き合っていきた
いと思います。
アルトゥール
2008/09/01 20:13
 アルトゥールさん、こんばんは。

> しかしこの録音に収められた演奏が彼の唯一の解釈であるはずはありません。

 この部分には、ものすごく共感いたしました。おっしゃる通りだと思います。さんざん考え抜いた究極の表現のようでありながら、実はほんの一側面なんですね。
 ですから、ゴールドベルクとあとほんのちょっとしか再録音しないで、亡くなってしまったのが、たまらなく残念です。

 話は変わりますが、ラフマニノフのことをちょっとだけ書いたので、アルトゥールさんの過去の記事にリンクさせていただきました。事後報告で恐縮ですが、ご了承ください。
Nora
2008/09/05 00:33
Noraさん
いつもコメントを頂き有難うございます。

グールドですが、彼は1つの曲からいろいろな可能性を
引き出すことのできるピアニストだと思います。
ゴルトベルクですが、旧録音と新録音の差を取り上げ、
それをグールドの内面の変化とか成長と結びつける批評
を読んだことがあるのですが、それはちょっと違うんじ
ゃないかと私は思います。
かといって1回1回の演奏がその場かぎりの解釈だとい
うのではなく、さんざん考え抜かれた表現でもあると思
うんですよ。

Noraさんの協奏曲の記事は拝読しました。
拙記事をご紹介して頂き、たいへん有難うございます。
アルトゥール
2008/09/06 15:21
初めまして。
リンクをたどるうちにこちらにお邪魔させていただきました。

私もクラシックが好きですが、主にピアノを中心に聴いています。
フランス組曲は特に1、2、5、6番が好きなのですが、日記を拝見して他の曲、様々な演奏を聴きたくなりました。
バッハの曲、昔はそれほど好きではなかったのに、どんどん魅力を感じるようになりました。奥深い魅力があるなぁと常々感じております。
kei
URL
2008/09/27 09:17
keiさま
はじまして。
コメントを頂き有難うございます。

私もピアノが好きです。交響曲よりもピアノ、室内楽を
中心に聴いています。
フランス組曲は5番、6番が優雅で私も特に好きです。
私も、若い頃はモーツァルトの優雅な旋律美や、ベート
ヴェンのダイナミックな音楽に魅せられていたのですが、
年を取るのに比例してバッハが好きになってきました。
バッハは膨大な数の宗教曲と器楽曲を作曲していますが、
器楽曲だけでも奥深い魅力があると思います。
たとえばゴールドベルク変奏曲など何回聴いても飽きる
ことはありません。聴くたびに新たな魅力を発見するよ
うな気がします。
アルトゥール
2008/09/27 18:18

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
グールドのJ.S.バッハ「フランス組曲第1〜4番」 クラシック音楽のある毎日/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる