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zoom RSS スウィトナーのシューベルト「交響曲第9番『グレイト』」

<<   作成日時 : 2009/09/26 17:33   >>

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今日の土曜は秋晴れの1日でした。
今日はオトマール・スウィトナー指揮ベルリン・シュターツカペレの演奏する、シューベルトの交響曲第9番「グレイト」を鑑賞しました。1985年7月3、4日のDENONへの録音です。

「グレイト」はシューベルトが亡くなった1928年に完成しています。シューベルトが最晩年(といってもわずか31歳だったわけですが)に作曲した曲は、室内楽分野での弦楽五重奏曲、ピアノ曲でのソナタ21番、交響曲ではこの第9番「グレイト」といずれも長大です。
いずれの曲も、果てしがないように長く、楽想が汲んでも尽きぬ泉のように溢れ出てきます。

しかしこれら3作の性格は異なるように思います。弦楽五重奏曲は激しく悲劇的です。絶望感さえ感じられます。ピアノ・ソナタ第21番は静かな曲です。夢幻的なものや優しさも感じられます。

これに対して、交響曲第9番「グレイト」は、明朗で美しい曲だと思います。
ぼくはこの曲を聞くと、北海道とかシューベルトの故郷オーストリア(ぼくはオーストリアに行ったことがないですが)に広がる大野原をイメージします。美しい野原が果てしなく広がっていて、あちこちに無名の花が咲いている…そんな風景をイメージします。
「グレイト」のニックネームのとおり果てしなく長大ですが、オーケストラの奏される、こんこんと溢れて出る泉のような美しい楽想にいつまでも浸っていたい…そんな気持ちになります。
今日のように秋晴れの1日に聴くのにふさわしい曲ではないでしょうか。

スウィトナー指揮シュターツカペレ・ベルリンの録音は、1985年ですから、この名コンビの最後に近い時期の録音だということになります。スウィトナーの指揮はいつものことですが明朗かつ流麗、そして自然体のもので、オーケストラの柔らかい音色もすばらしく、録音の優秀なこともあいまって、第一級の名演だと思います。

スウィトナーは1922年生まれですから、1908年生れのカラヤンより14歳年下になります。今も存命です。彼は1964年にシュターツカペレ・ベルリンの音楽総監督の座についており、ベルリンの壁が崩壊した1989年直後までその座にあったわけですから、カラヤンと全く同時代の指揮者だったことになります。
ベルリンの壁を隔てた西側でカラヤンが帝王の名をほしいままにした活動をしていたの対し、壁の東側でシュターツカペレ・ベルリンを指揮していたスウィトナーは、少なくとも一般には全く地味な存在です。

しかし残された録音はどうでしょうか。
スウィトナーは、今日聴いたシューベルトはもちろん、モーツァルト、ベートーヴェン、シューマン、ブラームス、そして未完成に終わったブルックナーと、いずれも自然体の秀演です。
録音数はカラヤンに遠く及びませんが、残された録音はカラヤン指揮ベルリン・フィルの黄金コンビに十分匹敵する内容を持っていると思います。カラヤンが特にデジタル時代に入って以降、主観的な濃厚な演奏に傾斜したのに対し、スウィトナーは最後まで自然体を失わず、それぞれの曲の名作たる所以を引き出すような誠実な演奏を続けてきました。シューマンだけは作品の性格とスウィトナーのスタイルとの間の溝を感じなくはないですが、カラヤンのシューマン演奏はスウィトナー以上に曲の性格と合わないように思います。

東ベルリンは、西ベルリンと比べ、表現の自由が抑圧されていた上、経済的な豊かさも遠く及ばなかったわけですが、そうした劣悪な環境の中、スウィトナーのような美しく端正な音楽が現れたことは興味深いことです。
ドストエフスキーやベートーヴェンが、現代のような経済的に豊かな時代・国に決して現れないということと、一脈通じるものがあるのではないでしょうか。

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コメント(5件)

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アルトゥールさま こんばんは

シュベルト、31歳で亡くなってしまうわけですが、後30年生きていたら、どんな曲を作曲していたのかな、と思ったりもしますね〜。これ以上どんな曲を作曲していたのかな、と〜。

私は弦楽五重奏曲も、割りと明るめの曲ではないかなと思うのですが〜。21番のソナタ、交響曲に関しては同じ意見です〜。

スイトナーさんの「グレート」持っていましたので、聴きながらコメントしております。仰るように、実に誠実な音楽作りですよね。それに、この時期の東欧の音楽家たち、非常に優れていたように思うのですよ、オケストラも弦楽四重奏団も〜。
壁の崩壊後は、政治に振り回されて、スイトナーさんは、不幸な経験をされたのではないかと思っています。私はスイトナーボックスはほとんど持っていますが、いずれの演奏も素晴らしいものばかりですよね〜。

ミ(`w´彡)
rudolf2006
URL
2009/09/26 19:16
rudolf2006さま
コメントを頂き、有難うございました。
弦楽五重奏曲は明るめの曲でしたか。私は同曲を1年以上も聴いていない
ので、変な先入観を持っているのかもしれません。
スイトナーさんはベルリンの壁崩壊をきっかけに、指揮活動から身を
引かれたましたね。何がスイトナーさんの引退をもたらしたのか自分は
全然知らないのですが、フルックナーやマーラーの全集が完成しなかっ
たのは残念でした。スイトナーさんはベートーヴェン、シュベルトは
もちろんですが、モーツァルトとドヴゥルザークも良かったと思います。
後者は5年位前にedelのボックスで廉価で入手したのですが、
大きな収穫でした。
80年代にスイトナーさんが来日しN響を振ったのを聴いたことがあります。
当時のN響はスイトナーさんだけでなく、サヴァリッシュ、ブロムシュテット、
それに亡くなったヴァントさんやシュタインさんも来て黄金時代だったと
思います。
アルトゥール
2009/09/26 21:49
アルトゥールさん、こんにちは。

スイトナーさんは素晴らしい指揮者でしたね。ドイツのドキュメンタリー番組で紹介されていましたが、引退した理由はパーキンソン病にかかって指揮棒が振れなくなったからだそうです。でも引退して何年も経ってから、現役時代の自分の指揮姿を見たことの無い息子の為に一度だけベルリン歌劇場のオケを指揮するのです。曲目はモーツァルトの39番です。それは大変に感動的なドキュメンタリーでした。
ところで、僕はスイトナーさんのシューマンも嫌いでは無いのですけど。そんなに違和感有りますか?
ハルくん
URL
2009/10/04 23:01
ハルくんさん、コメント有難うございます。
スイトナーさんがパーキンソン病だとは知りませんでした。
パーキンソン病は不治の難病ですから、本当にお気の毒だと思います。
70歳になる前に引退をされたのも仕方がないことです。
スイトナーさんのレパートリーの大半がCDで聞くことができるのは
有り難いことだと思います。

シューマンの話ですが、私はシューマンの交響曲が大の苦手で、
そのせいでスイトナーさんの演奏を聞いても今一つピンとこない
のだと思います。同じロマン派でも、ブラームスは良かったと
思います。


アルトゥール
2009/10/05 19:39
パーキンソン病がホントに憎いです。
この病気さえ無ければスウィトナーはブルックナー全集を完成し、さらなる名演も期待されていたのに。
そしてついに2010年1月8日に一度も楽壇に復帰することなく亡くなってしまいました。
カール・カラヤン
2011/12/14 18:15

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