クラシック音楽のある毎日

アクセスカウンタ

zoom RSS ルプーのシューベルト「ピアノ・ソナタ第20番」

<<   作成日時 : 2009/10/11 21:38   >>

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 6

東京は今日も秋晴れの1日でした。気温も1日の最高が20度台前半というたいへん過ごしやすい1日でした。
今日はラドゥ・ルプーの演奏するシューベルトのピアノ・ソナタ第20番イ長調D959を鑑賞しました。録音年月は1975年7月です。

シューベルトのピアノ・ソナタ第20番は、最後となった21番D960の直前に作曲されたもので、21番と同様演奏時間の長い大曲です。ルプーが両曲とも録音していますが、21番が演奏時間40分弱に対し、20番が約37分30秒と大差ありません。

それでこの20番がどういう曲なのかというと、ぼくは昔からもう一つ分からないでいます。特に第1楽章と第2楽章が分からないでいます。
第1楽章は劇的で緊張感に富み、第2楽章は幻想性と、歌曲の大家だったシューベルトらしい歌謡性がたいへん魅力ですが、両楽章とも若くして死を迎えようとしていたシューベルトの絶望感と苦悩が底に流れているのではないでしょうか。
第3楽章は、夢を見るように美しいスケルツォです。このスケルツォはかなり傑作だと思います。
第4楽章は、流麗なロンドです。シューベルトらしい美しいものに対する憧憬の念が現れているように思います。

この20番は、1980年代前半までは21番に比べると知名度の点で劣っていたように思いますが、80年代後半、ポリーニが録音を果たし、ブレンデルが再録音するようになって、実演・録音ともに急増したように思います。ピアニスト・聴き手ともに、この曲に21番に劣らぬ魅力を見出すことができるようになったのでしょう。

ルプーの演奏は、彼が30歳の時のもので、彼独自のクリスタルな音色で奏された叙情的・ロマンティックな演奏です。この曲の持つ叙情性を強調した演奏だと言えます。技巧の方も安定しています。ぼくとしてはたいへん満足できる演奏です。

以下は脱線ですが、このルプーというピアニストはここのところ録音が途絶えています。彼は90年代の前半に、シューベルトのピアノ・ソナタ21番と13番をカップリングした1枚と、シューマンの「子供の情景」「クライスレリアーナ」をカップリングした1枚という2枚のCDを録音しましたが、それ以来録音が途絶えています。実に15年以上も録音から遠ざかっていることになります。
彼はもともと録音嫌いだったわけでなく、80年代前半までは、DECCAに、シューベルトとブラームスのかなりの量の録音を果しているほか、メータと組んだベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲や、プレヴィンと組んだシューマン/グリーグを録音するなど、イメージと異なり、録音量はむしろ多い方だったと思います。しかし、85年頃を境にバタッと録音量が減り、90年代後半からは全く録音をしなくなったという感があります。
彼がなぜ録音嫌いに転じたのか、ぼくには全く分かりません。

しかしルプーは実演の方は、ほとんどがヨーロッパ内でのようですが、ある程度の活動を続けているようです。来日は2001年以来途絶えているようですが(ぼくのこの年、サントリーホールで彼のリサイタルを聴くことができました)、来年実に9年ぶりの来日が実現するようです。
かつて「千人の1人のリリシスト」というニックネームを付けられた名ピアニストも、もう60代の半ばに差しかかっています。来日公演を是非聴きに行きたいものです。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
ナイス

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
シューベルト ピアノソナタ第20番イ長調 D.959
今春の人事異動の内示が今日ありました。内々示は既に今年初めにあったのですが、それが具体的にいつになるのかが分かりませんでした。しかし、ふたを開けてみてびっくり。あと一ヶ月もないではありませんか!内々示の際には「まだ決まってないけれども、たぶん5月21日付けかな」と言われていたので、すっかりその気になっていました。さて、これから引越の準備などで大変です。幸い消化できていない休み(有休ではなく、普通の休み)がけっこうありますから、この際つかえるとことを願っています。 ...続きを見る
音楽鑑賞雑記帳
2009/10/11 22:45

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
アルトゥールさん、こんばんは!
私はあまりシューベルトのピアノソナタに詳しくないのですが、その中にあって最も好きな録音がまさに、ご紹介の演奏となります。これにかんしては、以前にブログに書きとめた記憶がありましたのでトラックバックさせていただきましたm(_ _)m
凛虞
URL
2009/10/11 22:50
アルトゥールさま お早うございます〜

シュベルトの20番のピアノ・ソナタ
どんな曲だったかなとCDをかけながらコメントさせていただいています。

アルトゥールさんがこの曲に対して書かれていること、良く分かります。ですが、私はこの曲はかなり好きですね〜(すぐに曲を思い出せずに、こんなことを書いていますが〜)。

私のブログでは、ゼルキン師、シュナーベル、クリーンの演奏を取り上げています。調べてみると、今年のお正月にも取り上げていました。
何とも言えず「幻想的な」2楽章が好きなのかもしれません〜。

ルプーさん、若い頃はレコード業界もまだまだ勢いのあった時期なので、確かデッカのレーベルから多数の録音が出ていたように思います。私も何枚か持っています。ですが、デッカの最新の録音というか発売されているCDを見ますと、ジャニー・ヤンセンのコンチェルト、ルネ・フレミングさんのアリア集などが出ていますね〜。ラド・ルプーさんも、デッカのアーティストの中には入っていました。ということは、録音をしなくなっているのでしょうか?それとも、デッカでは録音を出せなくなっているのでしょうか?
その辺りの事情は分かりませんが〜。
ルプー盤はこの曲は聴いたことがありません。一度聴いてみたいと思っています。

ミ(`w´彡)
rudolf2006
URL
2009/10/12 09:33
凛虞さん、コメント及びTB有難うございます。
ルプーの演奏は仰るとおり、リリシズムが顕著ながら、力強さも
失わないもので、録音当時30歳だった青年らしい感性で弾かれた
演奏だと思います。
また仰るとおり、シューベルトのピアノソナタはピアニストに
よって曲の印象が全然変わったきます。私は近年は、曲にもより
ますが、ケンプの静かな演奏に魅かれることが多いです。
ケンプと、リリックなルプー、それにスタンダードなブレンデル
を合わせて、シューベルト弾きの三羽烏だと勝手に思っています。
アルトゥール
2009/10/12 17:05
rudolf2006さま
コメント有難うございます。
私もこの曲は好きです。特に2楽章は好きです。
聞く頻度はそれほど多くありませんが…。
私の持っているのは、ルプーの他、ケンプ、ポリーニ、ブレンデル
(2種類)で、rudolf2006さまとちょうど外れてしまいました(汗)。
ルプーのシューベルトは、現在4枚組にまとめられてDECCA
レーベルの輸入盤で廉価で出ています。買って損はないと思います。

私の考えですが、90年代後半にDGとDECCAとPhilipsがユニバー
サル・グループに統合されて以来、DECCAとPhilipsはやる気がなく
なったように思います。室内楽や器楽曲の分野ではそれが顕著です。
デッカではシフがECMに移籍しましたし、タカーチSQも最近は
Hyperionから録音が出るようになりました。
ルプーの新録が出ないのは、そういった事情が背景にあるのかもし
れません。

アルトゥール
2009/10/12 17:25
おはようございます。
ご無沙汰しております。

秋になるとシューベルトが聴きたくなるのはなぜかしら・・・
ちょうどそんなことをここ2・3日ぼんやりと思っていました。
憂愁と憧憬が磨きあげられてそのまま音になり、旋律になったような、シューベルトの「うた」は、澄みきった秋の空気の良く似合うように思います。
ルプー、ここしばらく聴いていませんでしたが、初々しくしなやかで、時に絶え入るような彼の弱音をこのシューベルトを聴いてみたくなりました。
aosta
2009/11/02 05:39
aostaさん。
コメントを頂き、有難うございます。
僕も、秋になるとシューベルトを聴きたくなります。
特に後期のソナタとか即興曲とか…。
仰るようにシューベルトの「うた」は、秋の澄んだ空気とか
地面に散っている落葉とか、そういうものと似合うように思います。
シューベルトを聴いてセンチメンタルな気分に浸るのは一興だと
思います。
ルプーのシューベルトは、繊細な、隅々まで神経に行き届いた
演奏でいいと思います。
アルトゥール
2009/11/02 17:31

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
ルプーのシューベルト「ピアノ・ソナタ第20番」 クラシック音楽のある毎日/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる