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zoom RSS マルクス『資本論 第1巻』(向坂逸郎訳、岩波文庫)

<<   作成日時 : 2012/02/26 17:46   >>

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マルクスの『資本論』。
19世紀の半ばに出版された本だが、この200年の間に出た中で全世界に最も影響を本であることは間違いない。ひょっとしたら、悪影響なのかもしれないが、影響を与えたという事実は動かせない。

このたび、その第1巻を読み終えた。
『資本論』は、第1巻「資本の生産過程」、第2巻「資本の流通過程」、第3巻「資本の再生産過程」の3巻構成を取っている。そのうち第2巻と第3巻は、マルクスの没後残された草稿をもとにエンゲルスが編集したもので、第1巻「資本の生産過程」のみがマルクスが完成させたものらしい。

ぼくの読んだ岩波文庫版の『資本論』は全9冊から成る。第1巻にあたるのは、そのうちの第3冊までである。
ぼくは3冊目まで、マルクスが自ら完成させた部分をやっとのことで読み終えた。

ここで、ぼくのマルクスについての思い出について書いてみたい。

ぼくが学生時代を過ごしたのは80年代前半だった。当時はまだ旧ソ連をはじめとする社会主義諸国は存在していたものの、日本ではマルクス主義は斜陽だったと思う。その理由は、アメリカをはじめとする自由主義陣営の方が経済がうまくいっていることは明らかだった上、79年に起きた旧ソ連のアフガニスタン侵攻が日本人に悪いイメージを与えたこともあったと思う。
ぼくは法学部生だったが、大学1年の時にマルクス経済学の講義を聴講したのを覚えている。まったく退屈で、数回で聴講するのを止めてしまった。
そしてマルクスについては何も知らず、無縁なまま、大学を卒業し、就職した。

その後、80年代末から90年代初頭にかけて、ベルリンの壁崩壊、旧東欧諸国の民主化、旧ソ連の崩壊という激動が起き、ほとんどの日本人がマルクスのことを間違った考えを抱いていた思想家・経済学者だったと思うようになった。

ところが、ぼくは90年代前半、広松渉『今こそマルクスを読み返す』(講談社現代新書)を書店の店頭で見かけ、本のタイトルと中身が面白そうだったのと、新書サイズということもあって、買って読んでみた。
読んでみて、驚倒したと言っていいかもしれない。
マルクスという人は、こんなもの凄いことを言っていたのか、ということを知って、驚き、圧倒させられた。マルクスという人の視界の斬新さというだろうか、その世界観・歴史観の広さ・深さに圧倒させられたのだ。

それ以来、仕事で忙しい中、マルクスの『経済学・哲学草稿』『ドイツ・イデオロギー』『共産党宣言』『賃労働と資本』といった著作や、広松氏の著作を何冊か読んだ。
だがマルクスの作中もっとも有名な『資本論』は手つかずに今まできた。大作であることと、内容が難しそうだったからだ。

それが今回『資本論』を読んでみたのは、いつか読まなければならないという強迫観念のようなものずっと感じていたせいもあるし、自分が年を取って人生の残り時間が決して長くないと思うようになり、『資本論』のような大作を読む時間はあまりないだろうという焦りを感じたせいもある。


前置きが長くなったが、『資本論』の第1巻部分を読んで、やはり難しかったというのが、率直な感想だ。当時のイギリスの労働者や農民がいかに悲惨な状況に置かれていたかという点は理解できたが(この点に対するマルクスの取材は大したものだ)、最初の方に述べられていた価値形態論をはじめ、理論的な部分はあまり理解できなかった。し
しかし、生産性が向上すると利潤率が低下して恐慌に至る運命にある、というような今日の資本主義経済に当てはまる事柄が述べてあることは分かった。

読んでみて、偉大な書物を読み終えたという実感がある。
『資本論』が凄すぎて、『経済学・哲学草稿』など、以前に読んだマルクスの他の著作が物足りなく見えるような印象を持った。

法律学にせよ経済学にせよ、はたまた哲学にせよ、学問上の偉大な著作は、一回読んだだけでは分からないというのは、事実なのだろう。繰り返し読むことによって、理解が深まったり、新たな発見を得られたりする。
『資本論』は間違いなくそのような著作だ。

ただし、読んでいる最中感じたのだが、岩波文庫版は翻訳が古いせいで、訳文が固いように思う。
最近筑摩書房から「マルクス・コレクション」というすべて新訳のシリーズが出版されていて、その中に『資本論』の第1巻部分は収録されている。
もう一度チャレンジする時は、そちらの方にしようと思う。






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