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zoom RSS シュライアーのシューベルト「美しき水車小屋の娘」

<<   作成日時 : 2016/06/21 18:00   >>

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今日の東京は午前中は雨でしたが、昼頃に雨は上がり、日がさすまでになりました。
今日はシューベルトの連作歌曲集「美しき水車小屋の娘」D795を聴きました。演奏は、ペーター・シュライアー(T)とワルター・オルベルツ(p)です。1971年2月、3月の録音です。

「美しき水車小屋の娘」は、当時の詩人ゲルハルト・ミュラーの詩によるものです。
ミュラーは全部で20作の詩によって、粉職人の徒弟の若者が、水車小屋に住む美しい娘に恋をし、いったん恋は成就するものの、娘は心は狩人に心変わりし、若者は傷心のあまり小川に身を投じる、という一連のストーリーを作りました。シューベルはそれに曲を付して歌曲にしたのです。
またミュラーの詩を読んでいると分かるのですが、単に若者の恋物語というだけでなく、冒頭からラストまで繰り返し現れる小川のモチーフを始め、木々の緑などのオーストリアの田舎の美しい自然が若者の恋の背景をなしています。シューベルトが、若者の恋とそのバックの自然をいかに巧みに曲を付しているのかが、この「水車小屋の娘」の最大の聴きどころだろうと思います。

ところでシューベルトの他の連作歌曲集「冬の旅」と「白鳥の歌」には、「菩提樹」「春の夢」(以上、「冬の旅」)、「セレナーデ」「アトラス」(以上、「白鳥の歌」)のように、歌曲集から離れて単独で取り上げられることのある有名曲が含まれています。しかし「水車小屋の娘」にはそのような有名曲は含まれていません。

しかし、「水車小屋の娘」の中に名曲が少ないかというと、そんなことはなく、例えば若者と娘との出会いを歌う第4曲「小川への感謝」は若者の瑞々しくナイーブな心理を伝えて見事です。どちらかというと若者の恋が成就するまでの間に、第8曲「朝の挨拶」、第9曲「粉職人の花」など心に残る作品が多いように思いますが、それ以降も、例えば若者と小川の対話である第19曲「粉職人と小川」、第20曲で終曲でもある「小川の子守唄」は、しみじみとした名曲だと思います。

シュライアーとオルベルツの演奏は、旧東独時代のもので、昔から名演として知られているものです。
本曲には、フィッシャー・ディースカウを始めとするバリトン歌手による録音も多く残されていますが、シューベルトはこの「美しき水車小屋の娘」をテノールに向けて作曲したうえ、曲の新鮮でナイーブな性格からいっても、バリトンではなく、シュライアーのようなテノールで聴きたいように思います。

今日聴いたシュライアーの演奏は、彼の美声、美しいドイツ語の発音が最大限に発揮されたものです。テンポは意外なほどゆっくりとしていて、非常に自然体で、のびのびと積極的に歌っています。また若者の心情に表現しようとして主観的になるのではなく(それでは演劇になってしまいます)、節度を守っています。シュライアーなりの音楽観の現れなのでしょう。
オルベルツの伴奏も、自己主張するのではなくシュライアーを生かそう姿勢で一貫しており、それでいて微妙な反応など良い意味でデリケートです。ぼくは、このオルベルツというピアニストの演奏をシュライアーのとの共演や室内楽、それにハイドンのピアノ・ソナタ全集で聴いてきましたが、すべて端正で謙虚、真摯なもので、外れというもののないピアニストだと思います。

以下、余談です。
シュライアーとオルベルツは、シューベルト3大歌曲集を「美しき水車小屋の娘」だけでなく、「白鳥の歌」も録音しています(1971年の録音)。しかし「白鳥の歌」の方は、存在すら忘れられているのではないかと思うほど、世評の上ることはありません。しかし、ぼくの見たところ、「美しき水車小屋の娘」だけでなく「白鳥の歌」も素晴らしい出来で、世評高いフィッシャー・ディースカウ盤に匹敵するくらいの名演です。なぜこのコンビの「白鳥の歌」が無視されているのか、ぼくは以前から不思議に思っています。
なお、このコンビの「冬の旅」の録音は存在しないようです。


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