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zoom RSS F=ディースカウ/ムーアのシューベルト「冬の旅」

<<   作成日時 : 2017/02/19 17:24   >>

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今日の東京は冬晴れの1日でした。また気温もそれほど低くなく、穏やかな1日でした。春の到来がそれほど遠くないことが予感されるようでした。

今日聴いたのは、シューベルトの歌曲集「冬の旅」です。演奏はディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)とジェラルド・ムーア(p)です。1962年の旧EMIへの録音です。F=ディースカウとムーアはこの「冬の旅」を3回録音しているようですが、今日聴いたのはその2回目になります。

「冬の旅」は1827年、シューベルト30歳という死の前年の作曲です。周知のように、恋に破れた若者が冬のオーストリアを彷徨うというテーマですが、前作「美しき水車小屋の娘」のような物語性はありません。若者は最初から失恋しています。全部で24曲の歌曲を通して、恋に破れた若者が苦しみ・悲しみ・孤独・絶望を全身に抱えて、半ば死を求めながら、冬の野原を彷徨っています。
全24曲を通して聴くと、これは単に失恋の苦しみのみを歌った歌曲集ではない、ということが実感されます。若くして不治の病に侵され、翌年に死を迎えるくらい体調の悪かったシューベルト個人の孤独・絶望が吐露されていることは明らかです。
また、単にシューベルトの個人的な孤独・絶望に止まるものではないでしょうか。現代にまで通じる普遍性までもが感じられます。失恋や不治の病を得た全ての人間、それに止まらず愛や友情や信頼や信仰のような人間のプラスの側面から疎外された人間の、孤独感・絶望感が表現されているように思うのです(シューベルト自身は、そのような意識はなかったのだろうと思いますが)。

シューベルト晩年の「冬の旅」を含む歌曲や弦楽五重奏曲・同四重奏曲は、ベートーヴェンの後期の弦楽四重奏曲や、ショスタコーヴィチの晩年の弦楽四重奏曲と並んで、古典派以降の作曲家の中で、最も深遠な領域に到達したのではないでしょうか。

ところで、「冬の旅」は物語性はありませんが、起伏がないわけではありません。全部で24曲ということは、機械的に分けると最初の12曲が前半、第13曲「郵便馬車」以降が後半ということになり、ライナーノート(高木正幸)によると、シューベルト自身も第12曲までを1827年2月、第13曲以降を1827年10月以降に作曲したようです。
しかし管理人は、内容的に見て、第10曲「休息」までが前半、第11曲「春の夢」以降が後半というように考えています。
有名な第5曲「菩提樹」のあと第6曲「あふれる涙」、第7曲「川の上で」と主人公の若者の苦しみ・絶望感を訴える曲が続き第10曲「休息」で頂点に達します(話が脱線しますが、管理人は「あふれる涙」「川の上で」あたりの曲を特に好んでいます)。
そして第11曲「春の夢」、第12曲「孤独」と一息入れた後、徐々に第20曲「道しるべ」から第24曲「辻音楽師」までの5曲の後半のピークへと向かっていく、というように考えたいのです。

F=ディースカウは「冬の旅」を生涯で7回録音したようですが、管理人はその中の3種類を所有しています。今日聴いたのムーアとの1962年のEMIへの録音、ムーアとの71年のDGへの録音、そしてバレンボイムとの79年のDGへの録音、の3種類です。
管理人は、この中では今日聴いた62年の録音を最も好んでいます。美しいドイツ語の発声、録音当時37歳だったディースカウ(1925年生まれ)の声の張りと艶、自然体の歌唱スタイル、どれも文句のつけようのないくらい素晴らしいと思います。
一般には71年のDGへの録音の評価が高いのかもしれません。しかし71年録音は細部へのこだわりや誇張とも感じられる表現が目立つようになり、自然さが損なわれているように思います。このような劇的表現をめざす録音なら、バレンボイムの伴奏が絶妙のDGへの79年録音の方が上のように思います。
しかし、シューベルトがオーストリアの自然の育んだ傷つきやすいナイーブな存在であったことを考えると、最も自然体で端正な62年のEMI録音を最も好ましく思うのです。

追記 本曲に関しては、もう10年以上も前の2007年1月にホッター/ヴェルバ盤の記事を書いたことがありますので、その時の記事を自己TBしました。ホッターの歌唱は、シューベルトとの様式的な相違を感じられますが、F=ディースカウと同じくらいかそれ以上に、聴くたびに感動を与えてくれるかけがえのない演奏です(2017/3/11)

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ホッターのシューベルト「冬の旅」
今日は寒い1日だった。やはり1月下旬から2月中旬までは一年に寒い季節だ。このような日にふさわしい音楽をと思い、シューベルトの連作歌曲集「冬の旅」を聴いてみた。演奏は、ハンス・ホッター(バリトン)とエリック・ヴェルバ(ピアノ)で、1961年12月の録音である。 ...続きを見る
クラシック音楽のある毎日
2017/03/11 10:45

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