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zoom RSS 俵万智『オレがマリオ』(文春文庫)

<<   作成日時 : 2017/08/05 23:46   >>

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俵万智『オレがマリオ』(文春文庫)という歌集を読み終えた。
本書が単行本で出たのは、2013年11月だったとのこと。俵さんにとって『サラダ記念日』『かぜのてのひら』『チョコレート革命』『プーさんの鼻』に次ぐ第5歌集らしい。
本書はIとUに分かれている。Iが東日本大震災以降の作品で、Uが大震災以前の作品である。従って、Uの方が創作時期は古いことになる。全体で341首が収められている。

俵さんは2011年3月11日の東日本大震災当時、7歳の息子さんと2人で仙台に住んでいた。3月11日、俵さん本人は東京にいて、ご両親と息子が仙台にいたらしい(以上、本書の「あとがき」より)。おそらく原子力発電所の事故のことは、仙台に戻って知ったのだろう。

まだ恋も知らぬ我が子と思うとき「直ちには」とは意味なき言葉
子を連れて西へ西へと逃げていく愚かな母と言うならば言え

直接ではないだろうが、俵さんと息子さんは石垣島までやってきた。

「帰る理由」「帰らぬ理由」並べれば角のとれないオセロのごとし
孟母にはあらねど我は三遷し西の果てなるこの島に住む
エイプリルフールにふっと島に来てそのまま住みつくそんな人生

これから後は、俵さんというより当時7歳だった息子さんの元気・生命力・島の生活への適応力である。

「オレが今マリオなんだよ」島に来て子はゲーム機に触れなくなりぬ
それは春、モズクの森を探しゆく子は生き生きと足を濡らして
縁側に並んでスイカを食べているぷぷぷぷぷっと我が子島の子

管理人は俵さんのこれまでの歌集を全て読んだわけではない(『サラダ記念日』『プーさんの鼻』は全部読んだ。蛇足だが、『サラダ記念日』での中国を旅行した時の短歌は印象的だった)が、これまでは恋愛歌が多く、自然を題材にしたものは少なかったように思う。自ら「あとがき」でインドア派だったと述べている。
都会での暮らしから、自然が豊かで、素朴で人情味の厚い石垣島での生活に変わって、彼女の生活観もまた一変したのだろう。本書には、自然を題材にした短歌が多い。

しかし自然を題材にしていると言っても、やはり、大胆な語彙の使い方、みずみずしい感性、フレッシュな表現といった『サラダ記念日』以来の俵さんの個性が表面に出た短歌ばかりだ。島の豊かな自然の中で、母親が、我が子が逞しく成長していくのを見守る、いう一環したコンセプトがいい。

なお後半のUは、大震災が起きる前の時期の作品で、ここには我が子の成長を見守る歌だけでなく、恋愛歌も多く含まれている。
しかし、Uは今一つフレッシュな感性が見られないように思う。前半の大震災発生後、石垣島移住後の方が出来の良い短歌が多いように思う。

ところで、俵さんの前作『プーさんの鼻』は、俵さんが赤ちゃんを身籠っている時期から、息子さんが誕生し幼児にかけての時期にかけての作品だった。本書『オレがマリオ』には、それ以降小学校中学年になる頃の作品が収録されている。
ということは、このままのペースだと、次の歌集には、息子さんが小学校中学年から中学校卒業の頃までに創られた作品が収められることになるはずだ。次作の頃には、息子さんは、成長とともに腕白になり母親の言うことを素直に聞かない元気な少年になっているはずだ。そのような息子さんの姿が、俵さんの短歌にどのように現れるか?何年先のことになるか分からないが、楽しみにして待ちたい。




オレがマリオ (文春文庫)
文藝春秋
俵 万智

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