中川右介『カラヤンとフルトヴェングラー』(幻冬舎)

中川右介『カラヤンとフルトヴェングラー』(幻冬舎=幻冬舎新書)という本を読み終えた。著者は「クラシック・ジャーナル」誌の編集者で、本書は「クラシック・ジャーナル」誌に連載した記事をベースに執筆したものらしい。

物語はナチスが政権を掌握した1933年のベルリンに始まる。ナチスによる表現の自由の厳しい干渉を受けながら、ある時はナチスに抵抗しある時はナチスに従いつつ、世界最高の指揮者としてのプライドを保とうとしたフルトヴェングラー。そこに自らナチスの党員になってまで野心を実現しようとする若きカラヤンが現れた。緊迫した当時のドイツを背景に、2人の確執を中心に話は進んでいく。さらに終戦直後にはフルトヴェングラーを尊敬するチェリビダッケが現れた。本書はこの3人の動向を中心にカラヤンが「帝王」の座を手に入れるまでを描く。

本書は多くの資料を踏まえて書かれたもので、ぼくにとっては初めて知った事実が大半だった。たいへん興味深く短時間で読み終えることができた。芸術家というものは(むしろ芸術家だからこそ?)、実はすごく人間臭いものだと思った。ただ文章が生硬なのが惜しい。
読み終えてぼくがチェリビダッケの演奏が聞いてみたくなった。彼は終戦直後のベルリンで大変な人気を集めた指揮者だったのだ。ぼくはこれまで彼の録音は、EMIから発売された晩年のミュンヘン・フィルのものしか聞いたことがない。それはちょっとついていけないように感じたものだった。しかし今聞いてみるとまた違う印象を持つかもしれない。それにDGから出ているそれ以前のシュトゥットガルト放送響を振ったものは、まだ聞いたことがないので買ってみようと思う。

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この記事へのコメント

2007年02月26日 22:08
こんばんは。遅ればせながら、ボクもこの本を読んだ感想を書いてますのでトラックバックさせていただきました。
チェリビダッケ、ボクもミュンヘンフィルとのライヴ盤は何点か買って聴きましたが、異様に遅いテンポに呆気に取られました。でも決して弛緩した演奏ではないのがさすがだと思います。
個人的には「展覧会の絵」がよかったかと。極限のppp(ピアニッシシモ)の中で浮かび上がる弦のフレーズに鳥肌が立ちました。
2007年02月27日 07:22
トラックバックとコメント有難うございます。
私は実はイチロンさんの記事を読んで、この本を買ってみる
気になったんですよ。
ここ数日音楽を聴く時間が取れなかったんですが、
手許にミュンヘンフィルとのブルックナーがあるので、
まずそれを聴き直そうかと思っています。
ただ聴きとおすのに長時間かかるので、平日は中々聴け
ないのが難ですね…。
2007年02月27日 23:32
確かに・・・。ブルックナーは時間のある時じゃないと聴けませんね。(笑)。ましてや、ながら聴きなど、チェリビダッケが聞いたら激怒しそうですし。
2007年02月28日 07:54
コメント有難うございます。
チェリビダッケは演奏時間が長い(たしかブルックナー
第7がCD2枚組だったですよね?)ことからも、
またイチロンさんの仰る頑固な性格からも、休日の時間
のある時にゆっくり聴くものでしょうね。
いくちゃん
2007年04月17日 04:30
カラヤンとフルトヴェングラー、ほしいのですが
着払いでお願いできますでしょうか?当方住所は
030-0945青森市桜川2-19-11
電話017-741-3107
名前:木村 いく介
メール・アドレス
ikimura@actv.ne.jp
よろしくお願い申し上げます。

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  • 「カラヤンとフルトヴェングラー」

    Excerpt:  中川右介著、幻冬舎新書2007年刊。  新書って昔はもっと安かったのになぁと思いつつ手に取ったこの本、非常に興味深くあっという間に読み終えました。 Weblog: 『おかいまっ!!』  racked: 2007-02-26 00:19
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