ティントナーのブルックナー「交響曲第4番」

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変わった性格なのか、ぼくは時々、月に1回か2回、無性にブルックナーが聞きたくなります。気分が落ち込んでいるか高揚しているかにかかわらず、ブルックナーの音楽を聞いてその世界に身を浸したくなる時があるのです。

ブルックナーの交響曲から聞こえてくるのは何でしょうか。アルプスに代表される大自然と大森林ではないでしょうか。緑濃くうっそうと繁った木々、風のざわめき、川のせせらぎ、鳥の鳴き声。そういったものが一体となって聞こえてくるような気がします。しかしそれだけでしょうか。
それだけでなく、大宇宙の鼓動とでもいうようなものまでが聞こえてくる気がします。星たちは静止しているように見えて少しずつ動いています。星そのものが少しずつ成長し膨張し、やがて衰退します。それだけでなく大宇宙そのものが少しずつ膨張しているのです。そのような大宇宙の非常に微妙な、しかし確かな鼓動というか歩みとのようなものが、ブルックナーの音楽から聞こえてくるよう気がするのです。
ぼくは時々、ブルックナーの交響曲を聞いて大自然さらには大宇宙の中に無性に身を浸したくなるのです。

ところでそんな気分になった時、第7番から第9番までの3曲はあまりに崇高すぎて、安心して気楽に聞く音楽ではないのではないでしょうか。逆に「ロマンティック」の仇名を持ち、親しみやすい楽想のこの第4番は、ブルックナーの世界に素直に浸りたい時によく合うように思います。もちろん第4番だけではありませんが…。
この第4番「ロマンティック」には、比較的最近では、ヴァント指揮ベルリン・フィル、アーノンクール指揮コンセルトヘボウ管のように「名盤」と言われる録音があります。こうした録音は聞き手に緊張と感動をもたらしてくれます。しかし、もっと気軽にブルックナーを聞きたい時は、このNAXOSのゲオルグ・ティントナー指揮ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団(1996年10月録音)がさしずめぴったりです。どことなく親しみやすい上、聞いていると、スケール雄大な第1楽章、ゆっくりしたテンポの第2楽章、それに地響きを聞くような第4楽章となかなかの名演であることがわかります。
これをじっくり聞いていると、ぼくの「ブルックナー」欲求がかなえられます。自分が何か大きなものに抱かれているという安心感のようなものに身を包まれることができるのです。

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この記事へのコメント

2007年02月15日 06:27
おはようございます。
>変わった性格なのか、ぼくは時々、月に1回か2回、無性にブルックナーが聞きたくなります。
全然変わった性格ではないと思います。私もブルックナーは大好きなのですが、普段はほとんど聴きません。突如、ブルックナーが聴きたくなるときがあるのです。私の場合は、やはりマタチッチの7番かなあ。
2007年02月15日 13:40
 はじめまして。
 以前から楽しく拝見させていただいてます。
 わたしもブルックナーは、親しみやすい演奏の方が好きです。
 できたら、7~9番も、もっと気軽に楽しく聴けたら、と、思ってます。
 記事の内容にあまりにも共感したので、思わずコメントしてしまい、失礼いたしました。これからも楽しみにしています。

(PS)
 わたしはデュファイが大好きなので、以前のシャンソン全集の記事は、涙が出るほどうれしかったです。
 あまり書いてくれる方がいないので。では。 
2007年02月15日 19:37
garjyuさん
コメントありがとうございます。
マタチッチの第7は私もクレスト1000で出た時に入手しま
した。garjyuさんが私的ベストとされている演奏ですね。
私のブルックナーベストは、ジュリーニ指揮ウィーン・フ
ィルの第9です。ただこういう演奏は有難すぎ、普段気楽
にブルックナーを楽しみたい時は、ティントナーやベーム、
スウィトナー等の演奏で楽しんでいます。

Noraさん
はじめまして。コメント有難うございます。またいつも拙
記事を読んで頂き誠に有難うございます。
私も、最近年をとったせいか、寸分の隙もない演奏やエキ
サイティングな演奏よりも、親しみやすい演奏を好んで聞
いています。名演イコール聞きたい演奏ではないと思いま
す。7~9番の親しみやすい演奏といえば、このティント
ナーとかヨッフムあたりでしょうか。
古楽は最近よく聞くようになりました。素朴なように見え
て奥が深いと感じます。
2007年02月20日 11:41
グルダに続いてこちらにもコメントさせていただきます。

ブルックナー、私には縁のない音楽だと思っていました。
でも、不思議な出会いってあるのですね。
まずブルックナーのモッテト集を聞く機会があり、これがブルックナー?と目からうろこの経験をいたしました。続いてミサ曲。
熱心なカトリックだった彼が宗教曲を作曲していることに、何の不思議もないのでしょうが、交響曲で聴くあの厚くて、時にしつこい(失礼)ブルックナーのイメージは完全にくつがえされました。
 以来、他の曲を聴いても、以前とは違う新鮮な感動をおぼえます。
特に8番。
というわけで、ご挨拶させて頂いたばかりですが、勝手にTB送らせていただきました。
ご迷惑でないことを祈ります。
2007年02月20日 20:27
aostaさん
迷惑だなんて、とんでもありません。
TBとコメントを有難うございました。

私もクラシックの聞き始めからずっとブルックナーが
分かりませんでした。しつこくて、退屈で、野暮った
いとさえ思っていました。しかしこのブログに書いた
ことがあるのですが、今から10年位前、CD店で第
7のアダージョを聞いて突然開眼しました。aostaさんが
モテットを聞かれた時と同様、目から鱗でした。宗教曲
もいいですね。私はヨッフムの演奏で時々聞いています。

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    Excerpt: 『北極から南極まで、地軸をつらぬき、かれの呼び声がひびきわたり、 ものみな振動を始めた。 地表が揺らぎだし、合わせて宇宙全体が揺らぎだした。』 Weblog: 消えがてのうた racked: 2007-02-20 11:32