野口旭『グローバル経済を学ぶ』(筑摩書房)

野口旭『グローバル経済を学ぶ』(筑摩書房=ちくま新書)という本を読み終えた。今年5月10日刊の新刊書である。著者の野口氏は専修大学経済学部教授で専門は国際経済学とのことだが、ぼくはこの人の本を読むのは初めてだった。

「まえがき」によると、グローバリゼーションに関する政治家やジャーナリストの言説を聞いていると、著者のような専門家からみるトンデモナイ見解が多いという。そこで、国際経済学の「専門知」の立場から世間の一般通念=「世間知」の誤りを指摘することが本書の目的だという。

その通り本書では、国際経済学に関する「専門知」を分かりやすく説明するとともに、「専門知」の立場からグローバル経済に関する世間常識のウソ・ホントが次々に暴かれていく。たとえば、特定の商品に対する国際競争力を強化する必要がある、というような議論が全くナンセンスだとか、貿易不均衡が全然悪でないとか、そのようなことである。時には数学的な考え方(?)も出てくるが、自動車とポテトのような身近な例を用いて分かりやすく叙述されているので、どの個所もなるほどと思わせられる。著者の筆はまことに鮮やかで、快刀乱麻を断つ、と言ってよいほどだ。

この本は基本的に、市場原理主義、グローバリゼーションに賛成する立場に立っている。ぼくは経済学を体系的に学んだことはない素人なので、野口教授の見解に異を唱えることはできない。だがぼくは、昨今の反市場原理主義、反グローバリゼーションの多数の言説には、どこか昔をよしとする懐古趣味、理論が空疎な感情的なものを感じている。そして、これらに災いされていわゆる「構造改革」が進展しないのではないか、という不安を感じてきた。こういう時、この本のような「どんどん改革、規制緩和を進めればよいのだ」という専門学的根拠を与える本が出版されることは、まことに時宜にかなった企画だと思う。たいへん面白い本だった。

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