ジュリーニのブルックナー「交響曲第8番」

画像

最近ブルックナーを聴いていませんでした。ぼくのようなブルックナー・ファンは、1ヶ月もブルックナーを聴かないでいると何だか物足りなくなり、その巨大な音世界に身を浸したくなるのです。そこで今日聴いたのは、大本命の第8番です。

ブルックナーが好きだという人に、第何番がいちばん好きかと聞いてみると、ほとんどの人は第8番か9番だと答えるように思います。最近第5番の人気が出てきたと聞きますが、まだ8番・9番の人気には及ばないのではないでしょうか。ぼく自身はというと、やはり第8番か9番です。この2曲はどちらも大々々好きであり、差は付けられないと答えるほかありません。

今日聴いた演奏は、カルロ・マリア・ジュリーニ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団です。1984年5月23日から30日にかけてウィーン・ムジークフェラインザールでの録音です。オーケストラといい指揮者といい録音場所といい、これ以上望めない組合せと言えるでしょう。

この第8番は長大なことで有名ですが、特に第3楽章のアダージョと第4楽章が長くなっています。これはこの曲が、ブルックナーのこれまでの交響曲と異なり、急・急・緩・急の4楽章編成と取っていることと関係します。第1、2楽章が急速楽章だと、それとのバランスを取るため緩徐楽章が長くなり、さらに長い緩徐楽章とのバランスを取るため、終楽章も長くなってしまうのです。
このように急・急・緩・急の4楽章編成を取ると後半2楽章が長くなってしまい、曲全体がだれたものになってしまう恐れがありますが、ブルックナーの第8番は見事な成功例と言えるのではないでしょうか。

そのような形式的なことはさておき、曲に耳を傾けてみますと、第1楽章は物々しい立ち上がりから、もう完全なブルックナー・ワールドです。ぼくのようなファンはひたすら酔いしれてしまいます。
第2楽章は先述したように急速楽章でスケルツォですが、ここにスケルツォが置かれているのは必然のように感じられます。というのは、長大な第3楽章・第4楽章で描かれているのは、もはやこの世ではなく大宇宙そのもののように思われるのですが、大宇宙へ旅立つための飛翔の楽章が第2楽章のスケルツォではないかと思うのです。

第3楽章・第4楽章はもはや言葉にすることはできません。ブルックナーの交響曲は初期(たとえば第4「ロマンティック」)は、ドイツ・オーストリアの鬱蒼とした森林を描いている側面もあると思いますが、ここに描かれているのがもう完全に大宇宙です。第3楽章は大宇宙の静けさと神秘を、第4楽章は大宇宙のダイナミズム、その鼓動とうねりを表現しているのです。聴き手は我を忘れて聴き入るしかありません。

ぼくはこの曲はあまりたびたび聞きません。あまりにも見事な作品で、たびたび聴くのはもったいないように思うからです。

ジュリーニ指揮ウィーン・フィルの演奏は見事なものです。ジュリーニらしいじっくりとした演奏で、細部を繊細に表現し、歌わせながら、全体の流れを損なうことはありません。いや、全体の流れも見事なものです。
ぼくはブルックナーの交響曲第8番の演奏を約10種類(ジュリーニの他、ベーム、カラヤン/ウィーン・フィル、チェリビダッケ/シュトゥットガルト放送響、チェリビダッケ/ミュンヘン・フィル、バレンボイム/ベルリン・フィル、アーノンクール、スクロヴァチェフスキなど)持っています。その中で朝比奈隆先生の逝去された年のサントリーホールでのライヴ録音は、自分がその場に居合わせたせいで特別な存在ですが、朝比奈盤を別格とすれば、それ以外ではベストの演奏だと思います。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

2008年04月18日 02:24
アルトゥールさま こんばんは

いつも良い演奏を紹介してくださり、ありがとうございます。m(_ _)m
ジュリーニという指揮者、大学時代の友人が大好きだったんです。その当時が私には良さが分からなかったんですが、最近になってようやく、その素晴らしさに気づいてきています。
ヴィーナー・フィルハーモニカーとのブルックナー、良いですよね
特に8番、9番が良いですね。9番はシカゴとのものも素晴らしいですが~。ですが、ジュリーニの良さというのは、何度も聞き込まないと、なかなか分かりにくいところもありますよね~。

ミ(`w´)彡 
2008年04月18日 15:02
rudolf2006さま
コメントを頂き有難うございます。

ジュリーニのブルックナーは、ウィーン・フィルとの
7~9番、シカゴ響との第9と持っています。どれも
すごく良いですよね。他にウィーン交響楽団との第2
のスタジオ録音もあるようですが、それは持っていま
せん。

ジュリーニは私が学生だった80年代前半、クラシック
が好きな友人の間でたいへん人気があったんですよ。私
もその影響でジュリーニをよく聴きました。70年代後
半から80年代半ばまでのシカゴ響、ロス・フィルを振
った録音はどれも素晴らしかったと思います。でもウィ
ーン・フィルを振ったブルックナーが最高かな、と思い
ます。

この記事へのトラックバック

  • Anton Bruckner

    Excerpt: ブルックナーの交響曲第9番を聞いて感じること、彼の人となりを随筆ブログに投稿 Weblog: 《線香花火》 racked: 2008-04-20 09:22