東野圭吾『容疑者Xの献身』(文春文庫)

東野圭吾『容疑者Xの献身』(文春文庫)という本を読み終えた。ぼくはふだんミステリー小説をあまり読まないので、東野さんの作品もこれまであまり読んだことがない。『白夜行』(集英社文庫)、『眠りの森』(講談社文庫)に続き3作目だった。だが、この『容疑者Xの献身』は読み終えて、相当な傑作だと思った。

物語は、数学の天才的頭脳の持ち主で、現在は高校の教師を務めている石神哲哉が勤務に向うシーンから始まる。石神の隣人で、弁当店に勤める花岡靖子とその娘の美里の母子の許に、靖子の前夫・富樫が現れた。強引に復縁を迫る富樫を、靖子・美里の母子は思わず殺害してしまう。かねてから靖子に好意を寄せていた石神は、それを知って母子を助けようと決意した…というストーリーである。

ミステリーだという性質上詳しく書くことはできないが、ぼくはこの小説を読みながら何か違和感のようなものを感じていた。そしてそれは、現実のものとなった。この小説には、驚くべき大胆で巧妙なトリックが仕掛けられていたのだ。トリックだけでなく、それに至る伏線の張り方も非常に巧く、作者の力量を感じさせる。

この東野圭吾さんという人は、1985年に『放課後』という小説で江戸川乱歩賞を受賞したということだから、ミステリー分野ではもはやベテラン(失礼!)ということになる。デビューして20年以上が経過しているのに、この『容疑者Xの献身』のような秀作と発表するとは非常に息の長い作家である。本作は2006年の直木賞受賞作とのことだが、それも当然と思わされる出来だと思う。

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