ロバート・ライシュ『暴走する資本主義』(東洋経済新報社)

ロバート・B・ライシュ(雨宮寛・今井章子訳)『暴走する資本主義』(東洋経済新報社)という本を読み終えた。
本書は本年6月26日の刊である。著者のライシュ氏は、1946年米国ペンシルバニア州生まれで、現在カリフォルニア大学バークレー校教授を務めている。クリントン政権下で、労働長官を務めた経歴の持ち主で、もし今秋のアメリカの大統領選挙でオバマ民主党候補が勝利を収めた場合、政権の要職に就くことが有力視されている。
本書は、題名がトピカルだし、人気経済評論家の勝間和代氏が推薦しているせいもあってか、ビジネス書の中では好調な売れ行きを示しているようだ。

本書の原題は、”Supercapitalism"(超資本主義)である。著者は戦後から1970年代までのアメリカでは、民主的資本主義が経済界を支配していたという。多くの産業部門が巨大企業によって寡占化され、巨大企業は自らの利益を追求するだけでなく、従業員に多くの賃金と福利厚生を与え、また経営者は企業ステーツマンとして社会貢献にも携わっていた。当時のアメリカでは、「市民」が権力を持っていたといえる。
しかし1970年代後半からSupercapitalismが(超資本主義)が台頭し、経営者ではなく投資家と消費者が権力を握るようになった。技術発展に起因して、投資家と消費者により多くの選択肢が与えられ、企業は投資家と消費者を満足させるため、ひたすら利益の追求をめざすようになったのだ。そこでは、従業員の福祉や社会貢献などが顧みられる余地はない。

そして著者は、ロビー活動やCSR(Corporate Social Responsiblity)をはじめ、超資本主義の実態を赤裸々に暴いていく。ぼくの個人的には、アメリカのすさまじいロビー活動の実態、グーグルやウォルマートがロビー活動を始めるようになった経緯が描かれているのが、いずれも初めて知る話で興味深かった。

重要なことは、このような超資本主義は、我々(=アメリカ国民)が選択したものだということだ。アメリカ国民は、公共の事柄を考える市民としての立場と、投資家・消費者としての立場という二面性を持っている。そしてこれら二面が対立した時は、投資家・消費者としての立場をどうしても優先せざるをえない。したがって、超資本主義はアメリカ国民の選択の結果とも言えるのである。

そして、著者は、超資本主義がもらたすマイナス面、すなわち所得格差の拡大、雇用不安の増大、地域社会の消失、環境破壊といった問題を克服するための処方箋を提示している。

本書は、ほとんどがアメリカについて論じたもので、ヨーロッパや日本を含むアジア諸国については直接に論じられていない。しかし日本においても、アメリカと同様、超資本主義が席巻していることは明白である。本書は、アメリカでオバマ政権が誕生した場合の政策を占うとともに、日本において現在まさに起きている諸問題を考える上での重要なヒントにもなるものだ。

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この記事へのコメント

ひどい悪だね
2008年08月22日 20:15
民主党は代表選すらできない
独裁者党だね
あまりにもひどい
民主党は国民の生活を妨害しまくり
悪党だね
2008年08月23日 09:30
ひどい悪だねさん
日本の民主党のことですね。
たしかに日本の政党で、必ず代表選があるのは
自民党だけですね。

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