野中尚人『自民党政治の終わり』(筑摩書房)

野中尚人『自民党政治の終わり』(筑摩書房=ちくま新書)という本を読み終えた。著者の野中氏は1958年生まれ、現・学習院大学法学部教授、専攻は比較政治学とのことだ。2008年9月10日刊である。
本書は読んでいて興味深く、面白く、短時間で読み終えることができたばかりか、たいへん勉強にもなった。

著者の言葉をそのまま引用すると、「第1章と第2章は、小沢一郎と小泉純一郎という2人のリーダーの行動を読み解くことによって、自民党システムという政治の仕組みがいかに変容してきたかを論じたものである」。

まずこの第1章と第2章が面白い。小沢一郎氏は89年に47歳という若さで自民党幹事長に就任し、故・金丸信氏の後ろ盾を得て自民党を意のままに動かしながら、93年に離党し、いったんは細川護熙・非自民政権の成立に成功しながら、自民党の反撃を受けて挫折した。そして今ふたたび、民主党党首として自民党との再決戦に挑もうとしている。小沢氏がなぜ、この一見理解に苦しむような行動を取るに至ったのか、彼を突き動かした理念と、その理念と必ずしも適合的とはいえない政治手法について、分かりやすく分析がなされている。

第2章は小泉元首相について述べる。彼は、「小泉劇場」と呼ばれるこれまでの政治になかった手法を用いて、5年半の長きに渡って首相に座にあった。彼がやろうとし、また成し遂げたものは何だったのか。彼が念願とした郵政民営化とは何を象徴するのか。こういったことが分かりやすく述べられている。
ここで結論だけ述べてしまうと、彼が成し遂げたのは、経世会(旧・竹下派)による派閥政治の打破であり、それはすなわち本書のタイトルである「自民党政治」の打破を意味する。そして首相のリーダーシップの回復である。

続く第3章以降で、戦後の政治を支配した自民党システムがどのようなものであったか、その分析と歴史的背景が論述される。そして自民党システムが成し遂げてきた、できるだけ多くの国民に経済成長の果実を平等に分配しようとする「戦後合意」が、冷戦の終了やバブル崩壊、少子高齢化社会の到来などによって維持不可能になったことが述べられている。
ただし本書で著者が結論としているヨーロッパ標準の議院内閣制の必要性は、果たして実現可能なのか、結論がやや尻切れとんぼになっている感は否めない。

しかしその点は差し引いても、本書は戦後の自民党システムがどのようなものであったか、その特殊性と、それがもはや維持することができなくなった経緯(すなわち「自民党政治の終わり」である)について、分かりやすく説得力のある1冊である。
また政権選択の選挙が目前に控えていると言われる今日、たいへん時宜にかなった書と言えると思う。





自民党政治の終わり (ちくま新書)
筑摩書房
野中 尚人

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