キーシンのショパン「24の前奏曲」

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東京では、大型連休の後半に天気が崩れ、昨日・今日と雨が降りました。
最近ピアノをあまり聴いていなかったので、今日は、ショパンの「24の前奏曲」を聴いてみました。演奏はエフゲニー・キーシンです。1999年7月30日から8月1日にかけての録音です。

キーシンの演奏するショパンのプレリュードを聴くと、ピアノという楽器の表現力の多彩さを実感させられます。自然の美しさ、喜び、悲しみ、情熱、沈潜等の様々な人間の感情、それに音楽そのものが内包している大きさまでも、ピアノはたった1個の楽器で表現することができるようです。ショパンのプレリュードは、そのようなピアノによる表現の可能性を最大まで引き出した作品なのではないでしょうか。

キーシンの演奏は、1曲ごとの描き分けを重視しているようです。概して言えば、奇数番の長調の曲では、早めのテンポでペダリングを多用して華麗に演奏し、偶数番の短調の曲では、ゆっくりめのテンポでじっくりと演奏します。
それでいて各曲ごとに切れ切れになることなく、全体としての流れを損なうことはありません。24曲合わせて1曲であることをしっかりとわきまえた演奏です。
演奏テクニックはすばらしく、感情表現の豊かさは28歳の若者(キーシンは1971年生まれなので、録音当時28歳です)とは思えないほどです。全体としてペダリングが多いのは、昨今の流行に流されないもので、キーシン独自の考えに裏づけされているのではないでしょうか。

キーシンは1971年生れですから、今年で38歳ということになります。かつての神童も今や油の乗った年齢です。現代では、レイフ・オジェ・アンスネスと並び、ピアノ界の王者、横綱といってよい存在ではないでしょうか。
にもかかわらずキーシンの近年の録音は、CD不況のあおりを受けているせいか、今一つ注目されていないように思います。しかし、もし彼が、アルゲリッチやポリーニらピアニストが覇を競った1970年代のピアニストであれば、彼らと同様、出るCDのたびに大きな反響を呼んでいたのではないかと思うのですが、どうでしょうか。

以下は脱線です。
ぼくは、キーシンのショパン「24の前奏曲」を生で聴いたことがあります。1999年のショパン没後250年の記念イヤーのことで、サントリーホールで聴きました。
クラシックのコンサートというと聴衆は普通、中高年の男性または中高年カップルが多いのですが、キーシン(当時26歳だったことになります)のコンサートは若い女性が多いので、その点にまず驚きました。ショパンの前奏曲とピアノ・ソナタ2番を中心にしたプログラムでしたが、たいへんすばらしい演奏で、感動させられました。
若い女性を中心にした聴衆のスタンディング・オベーションに応えて、キーシンはアンコールを5曲も弾いたような記憶があります。


追記 本曲は過去にアシュケナージ盤を記事にしたことがあるので、その時の記事を自己TBしました。

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この記事へのコメント

2009年05月06日 22:18
アルトゥールさん、こんばんは!
キーシンのショパンはおっしゃるように素晴らしいですね。これだけ流れを重視しているにもかかわらず、粒立ちがキラリと光っていることも魅力と思います。
なお、ショパンだけでなく、ベートーヴェン「月光」等も屈指の名演と思っています。
2009年05月07日 19:13
凛虞さん、お久しぶりです!
コメントを頂き有り難うございます。
キーシンのショパンは、現代では最高レベルだと思います。
RCAの暖色系の録音もプラスに働いているのでは
ないでしょうか。
かつてのルービンシュタインのように、王道を行く
ピアニストだと思います。
キーシンのベートーヴェンはまだです。これからの楽しみです。
ところで、古典四重奏団のDSCHの演奏会ですが、
自分は少なくとも10月の方は行けそうです。

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