阿部彩『子どもの貧困』(岩波書店)

阿部彩『子どもの貧困』(岩波書店=岩波新書、2008年11月20日刊)という本を読み終えた。読み終えた感想から言うと、たいへんな力作であり、ぼくのような社会問題・教育問題と直接関係のない一般人にとっても大いに有益な内容をもった本だと思った。

著者はまず、なぜ子どもが貧困であることが問題なのかという問題を提起する。
もちろん、貧困家庭に育っても、幸福になれたり社会的に成功する人は存在する。しかし問題は確率である。貧困家庭に育った子は、そうでない子に比べて、高い学歴を取得できる可能性が低かったり、無保険の結果健康上の問題に陥ったり、親からの虐待を受けたりする確率が高いのだ。著者は統計上の数字を用いて、そのことを立証する。
そして子ども期に貧困であることの不利は、その子が成長して大人になってからも持続し、その子に一生つきまとう可能性が高いという。貧困家庭に育った子は、大人になっても低い生活水準に陥る。貧困の連鎖である。

さらに著者は、日本では子どもの貧困率が約7分の1で高く、しかも90年代以降上昇傾向にあること、世帯タイプで見ると母子家庭における貧困率が高いことなどを指摘し、政府の施策の問題点(例えば児童手当はわずか月額5000円にすぎない)について論及する。
その上で、ヘッドスタートというアメリカで採用されている子どもの額前の就学前の援助など、子どもの貧困から生じるハンディをなくすための様々な政策を提案する。

第4章での母子家庭の母親の苦しい状況を訴える声は、問題の深刻性を浮き彫りにするもので、読んでいて胸が痛くなる思いがした。
不況が深刻化している現状において、子どもの貧困問題がさらに悪化していることは想像に難くない。
一般の人に広く読んでもらいたい一冊だ。




子どもの貧困—日本の不公平を考える (岩波新書)
岩波書店
阿部 彩

ユーザレビュー:
このままではわが国の ...
意図的な論点外しを感 ...
「子育て支援」から「 ...

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 3

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック