スティーグ・ラーソン『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』(早川書房)

スティーグ・ラーソン(ヘレンハルメ美穂・岩澤雅利訳)『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』上・下(早川書房)という本を読み終えました。本書を入手したのは、ブログ仲間のrさんのお薦めによるものです。記して感謝したいと思います。

本書はスウェーデンの作である。上巻の訳者あとがきに次のように書かれている。

「この3部作(注:「ミレニアム」は1、2、3の3部作となっている。)は本国スウェーデンで大変な人気を博し、第1部の刊行から3年あまりで合計290万部以上を売り上げる大ベストセラーとなった。スウェーデンの人口が900万人であることを考えると、これは驚異的な数字だ。」

その通りである。日本では刊行後たったの3年で4000万部も売り上げた本など存在するわけがない。

物語は、経済雑誌「ミレニアム」の発行責任者ミカエル・ブルムクヴィストが、経済界の大物ヴェンネルストレムの不正行為を暴く記事を掲載したところ、名誉毀損で訴えられ、記事が真実であることを証明することができず有罪判決を受けるところから始まる。
判決を受けて発行責任者を退いたミカエルの許に、やはり経済界の大物であるヘンリック・ヴァンゲルから依頼が持ち込まれた。36年も前に失踪したヘンリックの兄の孫、ハリエット・ヴァンゲルの行方を探してほしいというものだ。
ハリエットは、36年前に一種の密室状況であった小さな島で失踪しており、当時徹底した捜査がなされたにもかかわらず、未解決に終わった。それを36年後の現在再捜査するとは、まるで雲をつかむような話だ。
しかしミカエルはこの依頼を受け、ハリエット事件解決に乗り出すことになる。

ところで本書には「ドラゴン・タトゥーの女」という副題が付いている。その副題の通り、背中にドラゴンのタトゥーを入れた若い女性、リスベット・サランデルの物語が、ミカエルのハリエット事件捜査と同時進行する。リスベットはフリーの調査員だが、ヴァンゲル・グループがミカエルにハリエット事件の捜査を依頼するに際し、ミカエルの身元調査をリスベットに依頼したことから、やがてハリエット事件にも巻き込まれていく。

本書はスウェーデンのみならず世界各国で800万部も売り上げたというだけあって、たいへん面白い。第1級のミステリであることは間違いない。
そして単なるミステリに止まらず、高福祉国家で知られるスウェーデンのあまり知られていない社会問題を取り上げたり、ミカエルのジャーナリスト魂が描かれている点も魅力だ。そして残酷で猟奇的な殺人がテーマになっているにもかかわわらず、全体の雰囲気はお国柄を反映して、どこか、のどかなものがないだろうか。
この点は、昔のマイ・シューバル&ペール・ヴァールーのマルティン・ベック警視シリーズや、最近のヘニング・マンケルのミステリの共通するスウェーデン・ミステリの魅力だ。

また結末がこの種のミステリにしては意外なものであったことや、事件の後日譚がよく書かれていることも印象に残った。
ぼくは本書を旅行先のバリ島で読み終えた。本書のおかげで、たいへん贅沢な時間を過ごすことができたと思う。続刊の「ミレニアム2」「3」もすぐにでも読んでみたい気持ちになった。

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