佐々木毅『政治の精神』(岩波書店)

佐々木毅『政治の精神』(岩波書店=岩波新書)という本を読み終えた。本書は、本年6月19日の刊である。
著者の佐々木氏は、1942年秋田県生まれ、現在、学習院大学法学部教授だが、東京大学総長を務めた経歴を持つ政治学界の権威である。
衆議院における小選挙区比例代表並立制、政治資金法改正など、1990年代の日本の政治改革において、佐々木氏が重要な役割を果したことが知られている。

本書は大権威が書き下ろした新書ということで、学術論文にするような熟した内容ではないが言いたいことを本にしてみたというイメージはないだろうか。ぼく自身は、そのような類の本ではないかと思って読んでみた。
だが読んでみると大違いだった。非常に大きなテーマが凝縮して書かれている。重厚な書である。新書サイズの小著だが、内容的には大著である。

「はじめに」の冒頭で著者は次のように述べる。
「本書は政治を支える精神的基盤・素地と政治的統合というテーマに焦点を当てて政治を論じたものである。」

ここから政治的統合というテーマが本書を貫くものであることがわかる。この政治的統合というテーマは、著者の世界観次第でどのように論じるかが大きく変わっててくるであろう、難しいテーマである。このテーマを正面から論じた書は、専門書の分野でも珍しいのではないだろうか。
この問題について、多くの読者が新書の形で手軽に考えられるようになったことは、たいへん有り難いことだ。

本文は、「第1章 政治を考える視点」、「第2章 政治をする精神」、「第3章 政治に関与する精神」、「終章 政党政治の精神ー日本政治のための覚書」の4章に分かれている。
各章の題名で分かるように、一般国民、職業政治家、政治参加、そして政党が取り上げられ、それぞれの精神的基盤と政治的統合との関わり合いが粘り強く論じられる。
その際、丸山真男、プラトン、マキアヴェッリ、アダム・スミス、マックス・ウェーバーといった代表的な政治思想家の思想が参照され、著者の思考プロセスを読者が共有できるように工夫して書かれている。

どの章も読み応え十分だが、中では「第2章 政治をする精神」が、職業政治家の精神について論じた書としては、大げさに言えば、マックス・ウェーバーの古典的名著『職業としての政治』以来の名著と言えるのではないだろうか国会議員も地方議会議員も、職業政治家は皆、必読だといえよう(第2章だけでなく、本書全体がどの政治家にとっても必読書だといえるが)。

政治学の分野において、久しぶりに出た快著だと思う。



政治の精神 (岩波新書)
岩波書店
佐々木 毅

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