ミラン・クンデラ『不滅』(集英社文庫)

ミラン・クンデラ(菅野昭正訳)『不滅』(集英社文庫)という小説を読み終えた。
著者のクンデラは1929年チェコ生まれ、『存在の耐えられない軽さ』で有名な作家である。現在も存命である。

本書『不滅』は1990年の作だから、比較的最近の作品だということになる。
ストーリーについては何とも形容の難しい作品だ。だが読み終えて大傑作だと思った。

小説は、「私」(=作者)が、パリのスポーツ・クラブで1人の女性=アニェスを偶然見かけ、その仕草に感動したところから始まる。

しかしストーリーは一本調子に進んでいくわけではない。
アニェスとその夫ポール、妹ローラ、娘ブリジットを中心にした愛憎の物語が中心になっているが、途中で文豪ゲーテが時空を超えて登場し、ゲーテとその「不滅の恋人」ベッティーナとの恋愛譚が語られたり、ゲーテとヘミングウェイが会話をしたりする。
またルーベンスという元々画家志望で、現在は画商を営んでいる男の恋愛遍歴が語られる。

物語は過去と現在を往復し、空間を超えて進行していく。
そしてその過程で、作者クンデラの文明論、社会論、マスコミ論、人生論、女性論といったものが縦横無尽に語られる。

上記のいろいろな物語は、もちろん関係がないわけではない。どこかに接点があり、それがまたこの作品全体の構成を複雑にし、作品を魅力的なものにしている。

有名な『存在の耐えられない軽さ』は、旧ソ連の共産主義体制を痛烈に批判しながらも、恋愛小説という側面が強かったのではないだろうか。
これに対して本書『不滅』はいちがいに恋愛を主題としたとはいえず、何とも形容の難しい作品だ。

これは読者によって感じ方が違う問題だが、ぼく個人的には『存在の耐えられない軽さ』よりも本書『不滅』の方が好きだ。
こんな大傑作にめぐり合ったのは5年ぶりくらいのような気がする。
また気が向いたらぱらぱらとどこかのページをめくって、この作品世界にもう一度入り込みたい、そんな気持ちになった。



不滅 (集英社文庫)
集英社
ミラン・クンデラ

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