植草一秀『日本の独立』(飛鳥新社)

最近、読書に充てる時間が少々できたので何冊か政治経済関係の本を読んでみた。
本ブログでも何冊か記事にしたいと思う。

まず植草一秀『日本の独立』(飛鳥新社、2010年12月6日刊)である。
著者の植草氏は1960年東京生まれ、早稲田大学教授を務めるなどエコノミストとして活躍したが、2004年以降2回にわたり痴漢事件で有罪判決を受けた人物である。だが、植草氏が引き起こした事件については、未だに陰謀説も根強いようだ。
植草氏は事件により社会的制裁を受けた後も、ネットを通じて日本の政治経済の諸問題について発信を続けている。

本書『日本の独立』だが、著者の言う米・官・業・政・電(注:それぞれアメリカ、官僚、産業界、政治家、マスコミのこと)の利権複合体=悪徳ペンタゴンが、日本国民を犠牲にして自らの利益を追求してきた、という一貫した視点の下に書かれている。
日本の政治家や官僚がアメリカの言いなりになっている、というのは多くの国民が感じている事柄ではないだろうか。
しかし本書では、2000年以降の具体的な事件、例えば新生銀行(旧・日本長期信用銀行)の再上場問題、りそな銀行救済といった事件の経緯を取り上げて、いかに上記の悪徳ペンタゴンが莫大な利益を得たか、国民の血税が無駄にされたかが述べられている。
新生銀行の再上場などは小泉政権時代の出来事であり、現在では多くの国民にとっては忘却の彼方となっているのではないだろうか。また植草氏の言い分が100パーセント真実なのかは、誰にも分からないだろう。しかしこれらの事件について、植草氏の主張しているような胡散臭さがあったことは、多くの国民の記憶の片隅に止めておいた方がよいのではないだろうか。
また、ぼくなどがこれまで腑に落ちなかった政治家などの行動も、植草氏の視点で見てみると、彼らの意図が納得できるような面がある。

ぼくが本書を読んで特に強い印象を受けたのは、マスコミ批判だ。
日々新聞やテレビに接していると、マスコミの質が劣化していることは感じざるを得ない(例えば、AKB48の選挙など、あそこまで大騒ぎするような事件なのだろうか?)。
しかし単に報道の質が悪くなっただけでなく、マスコミは、アメリカなどの意を受けて、世論操作を行うための偏向した報道を行っているという。本書を読んでいて、本当にその通りだと感じる点が多々あった。

500頁以上の大作ながら読みやすく分かりやすく、一読の価値は十二分にあったと思う。

なお、本書での植草氏の菅政権に対する批判はたいへん手厳しい。本書は東日本大震災が起きる前に書かれたものだが、氏のブログ(http://uekusak.cocolog-nifty.com)を見ていると、大震災以降、氏の菅政権に対する批判はいっそう厳しくなったようだ。


余談だが、15年以上前の話だが、ぼくは植草氏に直接お目にかかったことがある。植草氏、ぼく、もう1人と3人でランチをともに記憶がある。植草氏の方ではもう憶えていないかもしれないが…。アメリカ経済の状況などを教えてもらったような気がする。
植草氏は腰が低くたいへん誠実な人柄に見えた。その記憶があったので、彼が痴漢事件を引き起こしたと聞いた時、とても本当のこととは思えなかった。今でも国策調査の犠牲になった可能性はあると思っている。


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この記事へのコメント

rudolf2006
2011年06月27日 14:58
アルトゥールさま こんにちは

植草さんとご一緒されたことがおありなんですね
植草さんの事件、色々とおかしな点が多いですね、逮捕当日は公安に朝からずっとつけ回されていたこと、軽犯罪で家宅捜査の令状まで降りていること、など、不思議に思うことが多々あります。

事件が起こる前は、主にテレビ東京系などで経済のコメントなどをされていたかと思いますが、非常に頭の良い方だなと思ったりもしていました。

「検察+裁判所+メディア」の癒着から生まれる「冤罪」と呼ばれても仕方がないものがあることが、明らかになってきていますね~。
この国は果たして「法治国家」なのか?? 甚だ疑わしいと思っています、非常に残念なことですが~。
( ゚ᆸ゚ )
2011年06月27日 20:42
rudolf2006さま
コメントを頂き、有難うございます。
植草さんは小渕内閣の時、ブレーンをされていたんですが、
小泉内閣が植草氏と立場を異にする竹中平蔵氏の経済・財政政策を
取り入れたため、政府からはうるさい存在となってしまったようですね。

事件が冤罪かどうかはともかく、『日本の独立』一読に値する本だと
思うんですよ。
マスコミが世論操作を行って国民を洗脳していくという恐ろしい事態が
進んでいることも書かれていますよ~。

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