古賀茂明『日本中枢の崩壊』(講談社)

古賀茂明『日本中枢の崩壊』(講談社)という本を読み終えた。
著者の古賀氏は1955年生まれ、現役の経済産業省のキャリア官僚である。
古賀氏は公務員制度の改革に取り組んだが、守旧派官僚によって閑職に追いやられた。その古賀氏が官僚の腐敗ぶりを告発したのが本書である。

国家公務員は公僕であり、自らを犠牲にしても国民に奉仕しなければならない存在だ。ところが実際には、国民を犠牲にして自分が所属する省の省利省益を図る傾向があることは、しばしばマスコミ等で報じられている。
本書では、官僚が、国民を犠牲にして、省利省益、さらに私利私益を追求している実態が、豊富な具体的な事例を挙げて、述べられている。
彼らが既得権益を保持し、天下り先やポストを確保しようとして、政治家や産業界と癒着している実態は、怒りとともにも呆れかえる他はない。
彼らも若手時代は国の将来についてまじめに考えていたのかもしれない。しかし霞が関で1年また1年と働いているうちに、頭の構造が霞が関の論理で染められてしまうようだ。

本書によれば、小泉政権時代には政治改革が進展したようだ。しかし民主党に政権交代した後、少なくとも菅政権時代に守旧派が巻き返し、官僚、特に財務省官僚の意のままになる政治に逆戻りしたようだ。
野田首相は財務省の代弁者と揶揄されるような言動を取っている。官僚依存はこれからも続くだろう。
そして古賀氏のような改革派官僚は次々に閑職に追いやられたり、自ら霞が関を去ったりすることだろう。
そう考えると、本当に絶望的な気持ちになってしまう。

また本書には、終章で「起死回生の策」と題して、古賀氏自身による具体的な政策の提言がなされている。概ね規制緩和、国際化の方向に沿ったもので、ぼく個人的には納得のいくものが多かった。
また歳出削減や財源捻出の余地はあり、安易に増税に頼る必要はないこともわかる。
しかし、これらの提言が現政権によって採用されることはないだろう。

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