シフのシューベルト「ピアノ・ソナタ第18番『幻想』」

今日の東京は晴天で、3月上旬とは思えないくらい暖かな日でした。今冬は、暖冬だったように思います。

今日聴いたのは、アンドラーシュ・シフの演奏するシューベルトのピアノ・ソナタ第18番D894「幻想」です。1992年11月のデッカへの録音です。

管理人はこのシューベルトのソナタ18番が昔からたいへん好きでいます。
シューベルトのソナタというと、スヴャトスラフ・リヒテルの有名な録音のある第21番D960が最も人気があるのかもしれません。また20年くらい前から、20番D959のの人気が出てきたように思います。
しかし、管理人はシューベルトのピアノ・ソナタはどれも好きなのですが、特に好んでいるのが、今日聴いた18番D894と17番D850なのです。

この曲は4楽章構成を取ります。「幻想」という副題が付いていますが、その名の通りたいへん幻想的な曲です。
これはこの18番だけでなく他のシューベルトのピアノ・ソナタにも言えることですが、歌謡的なメロディの美しさはありますが、リアルなもの、現実的なものは感じられません。人間も動物も、山も川も、森も野原も、そのようなリアルばものは感じられません。山かもしれないし、川かもしれないという程度です。そのような現実を超越して、美しいです。もちろん人間の意志的なものは一切感じられません。
ひたすら幻想的です。単に、非常に美しいのです。

「美しい水車小屋の娘」や「冬の旅」に登場する若者の孤独で繊細な魂の移り変わりを聞いているようでもあり、そういう問題ではなく単純にピアノの音の特別に美しいメロディが流れているだけ、という感もあります。

管理人は、ピアノの美しい調べをいつまでも聴いていたい、という気持ちになります。

シフの演奏は、たいへん静かで繊細なものです。この曲にもう少しダイナミズムとか構築的なものを求めるリスナーには物足りないのかもしれません(そういう方にはブレンデルの演奏が良いのではないでしょうか)。しかし管理人は、シフはたいへんシューベルトに適したピアニストだと考えています。
管理人は、彼が2000年代にECMレーベルに録音したベートーヴェンを聴いて、構成力が足りずベートーヴェンとの相性がよくないと感じたことがありました。しかしシューベルトやモーツァルトは、シフの柔らかで繊細な個性がよく生きると思います。

ところで、今月下旬、シフの来日リサイタルがあります。管理人は東京オペラシティでのチケットを取りました。たいへん楽しみです。

追記 本曲については、ブログ開設当初の2006年12月にブレンデル盤の記事を書いたことがあるので、その時の記事を自己TBしました(2017/3/11)。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • ブレンデルのシューベルト「ピアノ・ソナタ第18番」

    Excerpt: シューベルトの「ピアノ・ソナタ第18番ト長調D894を聴いてみた。演奏はアレフレッド・ブレンデル、1988年3月の録音である。この曲は「幻想」という仇名で呼ばれているようだが、これはベートーヴェンの「.. Weblog: クラシック音楽のある毎日 racked: 2017-03-11 10:56