パドモア&ルイスの演奏会(11月24日)

昨日11月24日、東京・銀座の王子ホールで、マーク・パドモア(T)とポール・ルイス(p) の共演を聴きました。プログラムは次の通りでした。

シューマン: リーダークライスop24

ブラームス: 恋よ来いの季節は春op71-1/夏の夕べop85-1/月の光op85-2/花はみな見やるop96-3/航海op96-4/死 それは涼やかな夜op96-1

(休憩)

シューベルト: 月に寄すD296/海の静けさD216/竪琴弾きの歌: 孤独に身をゆだねる者はD478/涙とともにパンを食うたことのない者はD479/戸口を訪ねてしのび行こうD450/御者クロノスにD369

ヴォルフ: ねずみ獲り/花のあいさつ/似合いの同士/自然現象/アナクレオンの墓/コーランは不滅であるか/我らみな酔わずにいられようか/しらふでいると/酔っているといって彼らは/今日のこの酒場ときたら

アンコールはシューベルト「ギリシャの神々」でした。

管理人がパドモアを聴くのは昨日が初めて、ルイスは、本ブログ休止中の2012年にリサイタルを聴いたことがあるので、今回が2回目でした。

さて上のプログラムですが、有名曲はほぼゼロで、ドイツ・リートの地味な曲を集めたのかと思って会場である王子ホールに着きました。そこで渡されたプログラムを見て知ったのですが、前半のシューマンとブラームスの作品は全てハインリヒ・ハイネの詩によるもの、後半のシューベルトとヴォルフは全てゲーテの詩によるものだったのです。

さてシューマンの「リーダークライス」作品24ですが、シューマンには「リーダークライス」作品39という連作歌曲集も作曲しており、作品39がアイヒェンドルフの詩によるものであるのに対し、作品24はハイネの詩によるものです。作品39に含まれている歌曲は静かなしみじみとした曲が多いように思いますが、昨日聴いた作品24は感情表現の豊かな曲が多いように思いました。

次はブラームスです。ブラームスは交響曲、協奏曲、室内楽、ピアノ曲、歌曲と様々なジャンルに多くの名曲を残していますが、管理人が最も魅力を感じるのは室内楽と歌曲です。彼のアンサンブル曲に魅力を感じるのです。特に歌曲は、シューベルトやシューマンとと比べてあまり知られていないようですが、素朴で、ドイツらしい質実な温かみの感じられる曲が多く、管理人は宝の山のように感じています。
昨日聴いたパドモア&ルイスの演奏で、ブラームス歌曲の魅力を改めて教えられた思いでした

休憩後のシューベルトですが、有名曲の多いシューベルト歌曲の中ではあまり知られていない曲を選んだ感があります。しかしシューベルトの600曲に上る歌曲こそは、正しく宝の山。隠れた名曲が多く潜んでいるように思います。昨日聴いた中では、「竪琴弾きの歌」の3曲が、管理人はフィッシャー=ディースカウの録音を聴いたことがありますが、パドモア&ルイスの演奏を聴いて改めて佳曲であると感じました。

最期にヴォルフです。管理人はほんの3年くらい前までヴォルフ歌曲の魅力が分からずにいました。しかし最近はヴォルフ歌曲に取り憑かれ、ヴォルフこそは、シューベルト以降では最高のドイツ・リート作曲家ではないかと思うようになりました。
ヴォルフはゲーテ、メーリケ、アイヒェンドルフといった詩人の詩に寄せて多くの歌曲を作曲していますが、言葉・ドイツ語の発声を際立てせようとする作曲に天才的なものがあるように思います。ピアノ伴奏は発声を最大限に支える役割を課される一方で、高度な技術が要求されているように思います。パドモア&ルイスの演奏で聴いた曲の中には、こんな良い曲があったのかと驚くような曲があり、ヴォルフ歌曲の世界の奥深さの一端を覗き見たような気持ちになりました。

さてパドモアとルイスの共演ですが、何回も共演を重ねている両者だけあって呼吸はぴったり。パドモアは高音から低音までの声域のコントロールは見事なもので、発声へのこだわりと豊かな感情表現はあのフィッシャー=ディースカウを思い起こしたほどでした。
またルイスのピアノ伴奏が光っていました。パドモアの名唱もルイスに支えられてのものであることが、はっきりと分かりました。
各作曲家では、最後のヴォルフ歌曲の演奏が最も出来が良かったように思います。
パドモア&ルイスのコンビは、シューベルトの三大歌曲集などを録音していますが、ヴォルフの録音はまだのようです。両者にヴォルフの録音が出ることが期待されます。

日本では歌曲のリサイクルはあまり人気が出ないのかもしれませんが、昨日はたいへん満足することのできた演奏会でした。

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