ユジャ・ワン/アバドのラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」

東京は一昨日から昨日にかけて雪が降り、今日も曇り空の寒い1日です。今年は厳冬のようです。
今日は、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18を聴きました。演奏はユジャ・ワン(p)とクラウディオ・アバド指揮マーラー・チェンバー・オーケストラです。2010年4月のライブ録音です。

ラフマニノフのピアノ協奏曲は4曲あるのですが、管理人がクラシックを聴き始めた1970年代後半はラフマニノフのピアノ協奏曲と言えばこの第2番でした。しかし70年代と80年代前半の2回にわたってアシュケナージがピアノ協奏曲の全曲録音を果たし、また80年代前半に当時人気絶頂だったアルゲリッチのシャイーとの第3番のライブ録音が出たことが大きく、その後は3番が2番に劣らない人気を集め、実演で演奏される機会も2番・3番が同じくらいのように思います。
管理人はこれら2曲を性格を異にするように感じます。2番はロシア的な情感が前面に出た曲、3番はピアノのヴィルトゥオジー的要素が前面に出た曲というように捉えています。どちらが好きかと言われると同じくらいと答えるほかありません。ロマンティックな音楽を聴きたい時は2番、ピアノの超絶技巧を楽しみたい時は3番と聴き分けるのがよいように思います。

今日聴いた2番では、甘美でロマンティックで、ロシア的情緒を満喫することができます。「逢引き」という映画(管理人は見たことがありませんが)で使用されたという、緩徐楽章である第2楽章はもちろん、第3楽章もたいへん甘美でロマンティックです。特にオーケストラ部分が濃厚なロマンティシズムをたたえています。もちろん音楽を集中して聴いてもよいのですが、恋人同士が、カクテル又は濃厚なウィスキー飲みながら親密な会話をする際のBGMにふさわしいのではないでしょうか。

ところで今日聴いたユジャ・ワンは、まだ30歳くらいの若手ピアニストのようですが、大変な人気者のようです。ユーチューブに投稿された彼女の動画の再生回数を見ただけで彼女の人気のほどは分かります(もっとも彼女の露出度の高いドレスのせいもあると思いますが…。)
「現代のアルゲリッチ」という評価も聞いたことがあります。確かにアルゲリッチの若い頃のようにダイナミックな演奏をするピアニストですが、単に演奏技術だけならアルゲリッチよりも上だと思われます。今日聴いた演奏でも技術的に完璧で、ダイナミックレンジのコントロールも素晴らしいものがあります。
ただし指がよく回るということへのプラスアルファが何かあるかというと、それは疑問です。端的に言えば、今日聴いた演奏はロシア的情緒とは無縁な演奏です。ユジャ・ワン自身がプラスアルファを拒否して難曲を正確に弾き切る、ロシア的要素は排して純粋な音楽として表現するということを目指しているのかもしれません。そうだとしたら彼女の意図は達成された演奏だと言えます。
一つ言えるのは、昔から名盤として有名なスヴャトスラフ・リヒテルのDG盤のテンポをゆったり取った情緒纏綿とした演奏とは正反対のスタイルだということです。

アバド指揮マーラー・チェンバー・オーケストラのサポートは非常に充実しており、たいへんな名演だと言えます。この曲は実はオーケストラ・パートが重要なのですが、アバドと彼が晩年手塩にかけて育成したマーラー・チェンバー・オーケストラは音が何とも言えない良い音で、きちんと上品な演奏をしています。
アバドは2000年代、自分の子供以上に年の離れた若手演奏家を組織したマーラー・チェンバー・オーケストラやオーケストラ・モーツァルトと音楽を演奏すること自体を楽しんでいましたが、その成果だと言えます。ユジャ・ワンを含めた若手と共に音楽を楽しむ…。アバドは癌から復活したその晩年に至高の境地に達したのでしょう。管理人自身、アバドが癌を克服して2000年代に録音したモーツァルトやマーラーを聴いてみたいと思っています。




ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番/パガニーニの主題による狂詩曲
ユニバーサル ミュージック クラシック
ユジャ・ワン

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