シェリング/ヘブラーのモーツァルト「ヴァイオリン・ソナタ第34番K378」

今日の東京は概ね晴れ、暖かさが感じられました。2月半ばとなり、一歩ずつ春に向かって進んでいるということなのでしょう。

今日の1曲は、モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ第34番K378変ロ長調です。演奏はヘンリク・シェリング(vn)とイングリッド・ヘブラー(p)です。1969年9月の旧PHILIPS(現在はDECCA)への録音です。

モーツァルトはヴァイオリン・ソナタは宝の山です。
もちろん天才モーツァルトの残した全部で600以上の作品は全てが傑作であり、凡作など1曲もないわけですが、管理人は協奏曲と室内楽の分野に特に傑作が多いように感じます。室内楽ではクラリネット五重奏曲と弦楽五重奏曲、それに全部で40曲に上るヴァイオリン・ソナタのK296以降が特に傑作なのではないでしょうか。

今日聴いた第34番K378も大傑作であると思います。急・緩・急の3楽章構成を取ります。
まず第1楽章が、何とも言えず温和で、優雅で流麗です。この1楽章だけでも相当な傑作であると感じます。
しかし続く第2楽章が素晴らしいのです。第2楽章は緩徐楽章ですが、まさに言葉を失う美しさです。優雅で可憐で静謐で、ただただ美しい楽章です。大袈裟に言えばモーツァルトの書いた全ての音楽の中で最も美しいものの一つです。モーツァルト以外の作曲家には絶対書くことのできなかったであろう音楽です。
第3楽章は一転してリズミカルでコケティッシュで、ユーモアさえ感じられます。

シェリングとヘブラーのモーツァルトは、1980年頃まで、グリュミオー/ハスキルと並んでモーツァルトのヴァイオリン・ソナタの代表的録音として知られていたものです。
モーツァルトのヴァイオリン・ソナタは、ヴァイオリンの伴奏付きピアノ・ソナタと言われることがあるようにピアノ主体に書かれていますが、本録音でのヘブラーは上品で端正なスタイルを取ります。しかしこのヘブラーの演奏には、何か芸が足りないというか少々物足りない感を覚えることは否めません。管理人は以前は、シェリング/ヘブラー盤はヘブラーの演奏が平凡だとしてあまり好きになれず、グリュミオー/クリーンやズスケ/オルベルツを上に評価していたのですが、年齢を取るとともに曲の出来が素晴らしいのだから主観を交えず曲自体をそのまま再現しようとするヘブラーの演奏でもよいのではないかと思うようになりました。
シェリングは、抑制の効いた美音と独自の端正で禁欲的なスタイルで、さすがに上手い「伴奏」をつけています。
本録音は、モーツァルトのヴァイオリン・ソナタの録音が少ない時代に名演として評価されていたのが納得できる演奏でした。

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