泡坂妻夫『迷蝶の島』(河出文庫)

泡坂妻夫『迷蝶の島』(河出書房新社=河出文庫)というミステリー小説を読み終えた。
本書は1987年に文春文庫から出版されたことがある。管理人はその当時読んでたいへん感心した憶えがある。しかし何しろ30年も前のことなので、ストーリーもトリックもすっかり忘れてしまった。文春文庫版の方はかなり前に絶版になったようだが、この3月6日に河出文庫から再販された。そこで買って読んでみたという次第である。

本書は、東京の大学生・山菅達夫の手記から始まる。達夫は伊豆の引津マリーナにヨットを持ち、セーリングを楽しんでいた。そこで磯貝桃季子・中将百々子という2人の女性と知り合う。達夫が心を惹かれたのは百々子の方だったが、ちょっとした行き違いで桃季子と関係を持つようになる、というストーリーである。

本書は本格ミステリではなく、恋愛サスペンスであると言える。主要な登場人物は達夫・桃季子・百々子の3人という最小限に抑えられている。3人の間の感情の行き違い・3人の間に何が起こったのかは、たいへんサスペンスフルで、管理人は2時間余りで読了することができた。他の読者も同様だろうと思う。
本書には非常にシンプルで鮮やかなトリックが設定されている。管理人はそれに気付かなかったが、多くの読者にとっても盲点になりやすいのではないだろうか。
またマリーナやヨットが舞台になっているため、小説自体がフレッシュで視覚的に鮮やかになっていると思う。

泡坂妻夫氏は、ネットで調べると、1933年生まれで、2009年に享年75歳で亡くなっている。本職は紋章上絵師で、作家デビューは1970年代、40歳を過ぎてからという異色の経歴だ。トリッキーなミステリの作家としてミステリ・ファンの間では評価が高い方のようだ。
管理人自身は、泡坂妻夫氏の作品は数作しか読んでおらず、読んだものも中身は忘れてしまっている。しかし今回この『迷蝶の島』を読んで気に入ったので、これから少しずつ読んでいこうと思う。

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