スターンのブラームス「ヴァイオリン・ソナタ第2番」

今日は3連休の3日目です。東京は曇り空で昨日から一気に涼しくなり、本格的な秋の到来を思わせる1日です。

今日の1曲は、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第2番ハ長調作品100です。演奏はアイザック・スターン(vn)とアレクサンダー・ザーキン(p)です。1960年12月23日の旧CBS(現ソニー・クラシカル)への録音です。スターンは1990年代にもブロンフマンとブラームスのヴァイオリン・ソナタ3曲を録音しており、今日聴いたのは初回の録音ということになります。

ブラームスの全3曲のヴァイオリン・ソナタは3曲とも傑作ですが、管理人の最も好んでいるのは、今日聴いた第2番です。本作は1886年、有名な交響曲第4番を完成した次の年の作品です。

本作は急・緩・急の3楽章構成を取ります。しかし急と緩の落差は大きくなく、全曲を通じて落ち着いた楽想のある作品です。
第1楽章は憂愁の影の濃い、柔らかく深く叙情的な、落ち着いた音楽が展開されます。美しくロマンティシズムに溢れたブラームスらしい楽章です。
第2楽章も全体としては落ち着いた楽章で、「孤独だが自由だ」という言葉で有名な、晩年に差し掛かったブラームスの内心の吐露を聞くような気持ちになりますが、中間部で意外にのびのびした曲想になり、最後には元通りブラームス内心の語りを聞いているような気持ちになります。
第3楽章では、依然として落ち着いているものの、やや明るさと抑制された情熱が湧き出てくるのが感じられます。

本曲は、これまで作曲家として大きな仕事を成し遂げたと共に、人生としては晩年に差し掛かろうとしていたこの時期のブラームスが、オーケストラという形式では困難な自己の内心の吐露を、ヴァイオリンとピアノのアンサンブルという形式に託して実現した作品なのではないでしょうか。

スターンとザーキンの演奏は、意外なほどゆっくりしたテンポで、ブラームスの内心を丁寧に表現していきます。内省的な演奏です。
ザーキンはスターンの伴奏をよく務めていたピアニストで、当然のことながら両者の呼吸はぴったりです。
また、スターンとブラームスとの相性の良さを感じます。
スターンは1980年頃から技術的な衰えを言われるようになりましたが、今日聴いた録音は彼の全盛期のもので、もちろん技術的な問題はありません。管理人の見たところ、彼は演奏する曲ごとにその性格を意識して作品に忠実であろうと真摯に取り組んだヴァイオリ二ストで(そのような評論は見たことがありませんが)、本演奏では彼の長所がよく出ているように思います。

ブラームスのヴァイオリン・ソナタについては、管理人はこれまで、オイストラフ/リヒテル、コーガン/ムイトニク、クレーメル/アファナシエフと旧ソ連又はその出身のヴァイオリ二ストによる演奏を好んでおり、それは今も変わりませんが、今日聴いた演奏はアメリカのヴァイオリ二ストによるブラームス演奏の傑作だと思います。昔よく言われていたアメリカの演奏家はどうだ式の偏見(?)は捨てて、虚心に耳を傾けたいものです。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック