ベルチャ四重奏団の演奏会(2月1日)

一昨日2月1日、東京・四谷の紀尾井ホールで行われたベルチャ弦楽四重奏団のコンサートを聴きに行きました。
ベルチャ四重奏団は、現在ではアルテミス弦楽四重奏団等と並び世界屈指のカルテットと聞きますが、管理人はこれまで実演でも録音でも聴いたことのない団体です。
同四重奏団の現在のメンバーは次の通りです。
コリーナ・ベルチャ(第1vn)
アクセル・シャハー(第2vn)
クシシュトフ・ホジェルスキー(va)
アントワーヌ・レデルラン(vc)

ベルチャ四重奏団は1994年の創立で今年で創立25年ということになります。上記4人のうちベルチャとホジェルスキーが創立以来のメンバーです。またベルチャのみ女性で、後の3人は男性です。
また当日のプログラムは次の通りでした。

モーツァルト「弦楽四重奏曲第22番K589『プロシャ王第2番』」
バルトーク「弦楽四重奏曲第6番Sz114」
(中休み)
メンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第6番作品80」

モーツァルトの第22番は、彼の全ての弦楽四重奏曲の中で最後から2番目の作品、バルトークの6番とメンデルスゾーンの6番はいずれも彼らの最後の弦楽四重奏曲で、3人の作曲家の晩年の弦楽四重奏曲ばかりを集めたプログラムです。

さて一昨日会場に行きベルチャ四重奏団の登壇を待っていると、向かって左からベルチャ、シャハー、ホジェルスキー、レデルランの順に座りました。このように向かって第1vn,、第2vn、va、vcの順に座るのは1980年代までは普通のスタイルでしたが、その後、vaとvcが逆の位置を取りvaが一番右に座るスタイルを取るカルテットが多くなったように思います。ベルチャ四重奏団のvcが向かって一番右というのは、見て何か新鮮感のようなものを覚えました。

最初のモーツァルトの第22番K589は、ケッヘル番号で分かるようにモーツァルトにとってかなり晩年の作品です。弦楽四重奏曲としては第14~19番の有名な「ハイドン・セット」が創作された後の作品ということになります。ハイドン・セットの6曲が中身のぎっしり詰まった充実感のある作品であるのに対し、本曲を含むその後のモーツァルトの弦楽四重奏曲は、融通無碍な自在さと不思議な軽みが出てきています。管理人は本曲を聴いて緩徐楽章に特に魅力を感じると共に、4つの楽器にそれぞれ活躍の場が与えているのに気が付きました。
次のバルトークの6番ですが、これはかなりの傑作、バルトークの全作品中、有数の傑作だと思います。ショスタコーヴィチの晩年の弦楽四重奏曲を思わせるような内心の吐露と、前衛性を合わせ持った作品です。それだけではなくハンガリーの民族的要素が聞こえてくるようにも思えます。全曲を通じて充実した中身を持った作品です。
中休みをはさんでメンデルスゾーンの6番は、ライナーノート(木幡一誠)によると、彼の最愛の姉ファニーが亡くなった直後の作品らしく、彼の内心の悲痛な叫び声が聞こえる、悲劇性に満ち溢れた作品です。特に第4楽章での緊張感と悲劇性は聴く者に胸に迫ってきます。「結婚行進曲」やヴァイオリン協奏曲のような華麗・流麗な曲想のイメージのあるメンデルスゾーンが、このような悲劇的な作品を創作していたというのは、意外感があります。
ベートーヴェン、バルトーク、ショスタコーヴィチは、自己の内心を吐露するのに最も適切な形態を弦楽四重奏に見出したわけですが、メンデルスゾーンも同様なのかもしれません。

ベルチャ四重奏団の演奏ですが、非常な名演でした。4人の奏者が高い演奏技術を有しており、アンサンブルの精緻度が素晴らしいものでした。ベルチャ四重奏団はアマデウス四重奏団とアルバン・ベルク四重奏団に師事したということですが、技術的完成度はアルバン・ベルク四重奏団に匹敵するか、同四重奏団を上回るものがありました。
スタイルとしては師であるアルバン・ベルク四重奏団型の濃厚な演奏でしたが、デリケートな表現も長けており、特に第1vnのベルチャの演奏テクニックは素晴らしかったです。
またモーツァルトに始まり、バルトーク、メンデルスゾーンと演奏が尻上がりに良くなっていったように思いました。
管理人は一昨日の演奏を聴いて、ベルチャ四重奏団の録音、少なくともベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集を購入しようと思いました。

なおアンコールは、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第13番第5楽章「カヴァティーナ」(素晴らしいプレゼントです)とショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第3番第3楽章でした。

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