グリュミオーのモーツァルト「ヴァイオリン協奏曲第1番」

今日、10連休初日の東京は、雨こそ降らなかったものの曇り空で、昨日に続いてこの季節には思えない寒さでした。30年余り続いた平成は、今日を含めてあと4日で終わります。
今日の1曲は、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第1番変ロ長調K207です。演奏は、アルテュール・グリュミオー(vn)とコリン・デイヴィス指揮ロンドン交響楽団です。1962年4月の旧Philips(現在はデッカ)への録音です。

モーツァルトの真作と認められている5曲のヴァイオリン協奏曲は、第1番がK207、第5番がK219とケッヘル番号が近接していることから分かるように、同時期の作品です。すなわちモーツァルトが18歳から19歳の時の作品です。モーツァルトがそれ以降ヴァイオリン協奏曲という分野で1曲の作品も残さなかった理由については、よく分からないようです。ヴァイオリン・ソナタはかなり後年に至るまで、書き続けているのですが…。

ところで管理人は、モーツァルトのヴァイオリン作品、ヴァイオリン協奏曲とヴァイオリン・ソナタが大好きでいます。モーツァルトの優雅で華麗で上品な作風は、美麗な旋律楽器であるヴァイオリンとよく適合するように思います。
5曲のヴァイオリン協奏曲はモーツァルト若書きの作品の訳ですが、たいへん魅力を感じます。年を取ると共に好きになってきたように思います。
今日聴いた第1番については、ずっと第3番以降の3曲に比べて魅力に欠けるように思っていました。しかし今日聴き直してみると、第1・3楽章の両端楽章の華麗な旋律はたいへん魅力的です。緩徐楽章である第2楽章がややインスピレーションに欠ける感がなきにしもあらず、ですが、第1・3楽章の旋律美はそれを補って余りあるものがあります。モーツァルトならではの佳曲です。

グリュミオーとデイヴィス指揮ロンドン交響楽団の演奏は、昔からモーツァルトのヴァイオリン協奏曲の決定的名演として定評のあるものです。「レコード芸術」誌の名盤選びでは、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲では今でもグリュミオー盤がトップなのではないかと思います。
50年以上も前の演奏が今でも最高だと考えられているのは奇異のように思いますが、グリュミオーの上品な美音と端麗な演奏スタイルをモーツァルト演奏の理想と考える専門家が現在でも多いのでしょう。
管理人が今日聴いた印象では、ヴァイオリンという楽器の本来持っている美麗さを損なうことがなく、かと言って過度に美麗に流れることもなく、節度感が好ましいように思いました。
このような音色と演奏スタイルは、確かに、時代の進歩と共に乗り越えられるものではないのかもしれません。

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