ヴェルナー・ハースのドビュッシー「前奏曲集第1巻」

今日、日曜の東京は、昨日の雨が上がり、晴天で夏の陽気でした。管理人は、妻と共にイタリアンの店でランチを取り、今日夜の食材の買い物をしました。

今日の1曲はドビュッシーの「前奏曲集第1巻」です。演奏はヴェルナー・ハース(p)です。1961年のPhilipsへの録音です。

ドビュッシーの前奏曲は、昨日エントリーしたショパンの前奏曲と同様、第1・2巻合わせて24曲で構成されていますが、ショパンと異なり、各曲に異なる調性が与えられているわけではありません。
今日聴いた第1巻は合計12曲で、順に「デルフの舞姫」「帆」「野を渡る風」「夕べの大気にただよう音と香り」「アナカプリの丘」「雪の上の足跡」「西風の見たもの」「亜麻色の髪の乙女」「さえぎられたセレナード」「沈める寺」「パックの踊り」「ミンストレル」という標題が付されています。
ドビュッシーがこれらの標題からどのようなインスピレーションを得たかを聴き取るのも一興ですが、標題に囚われずにドビュッシー独自の高度に洗練された、色彩感と清涼感溢れる、創造性豊かな世界を純粋に楽しむのが良いのではないでしょうか。
またドビュッシーの洗練度の高い清涼なピアノ曲は、今日のような暑い夏の一日に聴くのにふさわしいと思います。

ヴェルナー・ハース(Werner Haas、1931~1976)は、ドイツ生まれ、ヴァルター・ギーゼキングの高弟のピアニストです。しかし45歳の若さで自動車事故で亡くなってしまい、今日では知る人ぞ知る存在になってしまったように思います。
ハースはドビュッシー、ラヴェルのピアノ曲全曲録音を果たしていますが、同様にドビュッシー、ラヴェルのピアノ曲全曲録音を果たしている、フランス人女流ピアニスト、モニク・アース(Monique Haas)とは、スペリングが共にHaasで同じなので、区別しなければなりません。モニク・アースの方はフランス語ではHを発音しないので、日本ではアースと表記されているようです。簡単な見分け方があります。ファースト・ネームの相違がありますが、モニク・アースの録音はEratoなのに対し、今日聴いたヴェルナー・ハースの方はPhilips(現在はDeccaから発売されているのではないでしょうか)なのです。

ヴェルナー・ハースは、師ギーゼキング譲りのフォルムを崩さない、端正なすっきりとした演奏です。師と同様、主観をできるだけ排し、様々な音の大小とタッチでドビュッシーの音世界を表現します。演奏技術は万全で、音が隅々まで鳴っているという点では師より上だと思います。
さらにギーゼキングよりはっきり勝っているのが録音です。ギーゼキング盤はモノラルというハンディがありますが、今日聴いたハース盤はステレオの上、清澄で柔らかなPhilipsの録音技術のお蔭ですぐれた録音となっています。往年のPhilipsサウンドはドビュッシーと相性が良いのではないでしょうか。管理人は持っていませんが、ハイティンク/コンセルトヘボウ管弦楽団によるドビュッシーのオーケストラ曲の録音は良いのかも、と思ったりしました。
ハースによるドビュッシーのピアノ曲全集は、定評のあるギーゼキングの全集を恐らく上回る、隠れた名盤だと思います。管理人がたいへん気に入っている録音なのです。

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