シュワルツコップのシューベルト「歌曲集」

今日の東京は一日中雨です。梅雨とはいえせっかくの週末が雨とは、残念なことです。
今日の1枚は、エリザベート・シュワルツコップ(S)とエドウィン・フィッシャー(p)によるシューベルトの「歌曲集」です。1952年10月のEMIへの録音です。

本歌曲集には次の各曲が含まれています。

楽に寄すD547、春にD882、悲しみD772、ガニュメートD544、緑野の歌D917、糸を紡ぐグレートヒェンD118、恋人のそばにD162、若い尼僧D828、シルヴィアにD891、水の上で歌うD774、夜のすみれD752、ミューズの子D764

計12曲です。中には「緑野の歌D917」のようにあまり知られていない曲もありますが(ただし「緑野の歌」はなかなか魅力的な曲です)、半数以上が有名曲と言えます。シューベルトにはあまり知られていない歌曲の中にもハッとするような美しい曲があり、本録音を聴いてそのような曲の発見があまりできないのは残念なことです。しかし今日とは比較にならないくらいクラシックのマーケットが小さかった1950年代当時としては、有名曲ばかり集めて歌曲集を作るのは商業上やむを得なかったのだろうと思います。

個々の作品に立ち入ることは避けて、シュワルツコップとフィッシャーの録音について述べてみたいと思います。
この録音は昔から名演として有名なものです。
管理人が初めてシューベルト歌曲を聴いたのはフィッシャー=ディースカウの演奏だったと思いますが、その次がこのシュワルツコップ/フィッシャーだったように思います。
その後さまざまな歌手によるシューベルト歌曲の演奏を聴いた今日でも、このシュワルツコップ/フィッシャー盤は改めて感動することができました。非常な名演だと思います。
管理人の中では、シュワルツコップというと感情表現に長けた人という印象があるのですが、この録音では端正で格調高い歌唱を聴かせてくれます。たとえば、シューベルトの全歌曲中屈指の名曲と思われる「若い尼僧」や「シルヴィアに」ではもっと感情豊かに歌うことも可能だと思いますが、彼女は古典的格調の高さを維持しています。若い時代のシュワルツコップ(1915ー2006なので、録音当時37歳ということになります)はこういう歌い方をしていたのか、と思いました。また、男声とは違った、ソプラノによる歌唱の純粋な美しさを満喫することのできる一枚です。
彼女のシューベルト録音は、まとまったものとしては本録音だけのようですが(彼女のリート録音はヴォルフが多いようです)、もっと録音してほしかったという無い物ねだりの気持ちが起きてきます。

またエドウィン・フィッシャーの伴奏が素晴らしいものです。端正でデリケートな演奏です。「ガニュメート」での伴奏など見事の一語に尽きます。

本録音が昔から名演という評価を得ていたのは当然のように思います。エリー・アメリングらシュワルツコップの後継世代のシューベルト歌唱が、このシュワルツコップを超えることができたのかどうか(管理人自身は、アメリングのシューベルトをシュワルツコップと同じくらい愛好しているのですが)…。録音から70年近く歳月を経た今日でも、このシュワルツコップ/フィッシャー盤は、女声によるシューベルト演奏としては真っ先に挙げられるべき名演と言えるでしょう。

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