ボザール・トリオのハイドン「ピアノ三重奏曲第13番」

今日日曜の東京は梅雨が明けたかのような晴天で、気温は上昇し、暑い1日です。
今日はボザール・トリオの演奏するハイドンのピアノ・トリオ第13番ハ短調Hob.XV:13を聴きました。1974年5月の旧Philipsへの録音です。録音当時のボザール・トリオのメンバーは次の通りです。
メナヘム・プレスラー(p)
イシドア・コーエン(vn)
バーナード・グリーンハウス(vc)
コーエンはボザール・トリオ入団前、ジュリアード四重奏団の第2ヴァイオリンを務めていた室内楽の名手です。

さてハイドンは生涯に約40曲のピアノ・トリオを作曲しており、今日聴いた13番ハ短調はライナーノート(Hans Christoph Worbs)によると1789年の作です。ハイドン(1732-1807)中期の作ということになります。
本曲は2楽章構成を取り、楽譜指定は第1楽章がアンダンテ、第2楽章がアレグロ・スピリトーゾとなっています。第1楽章はピアノによる何とも物悲しい旋律で始まります。続いてヴァイオリンが何とも麗しい旋律を奏で、長調に転調します。その後また短調に転調し、また長調に戻ります。このように転調の妙と旋律の美しさを楽しめる楽章です。
第2楽章は、流麗な楽しい楽章です。ピアノ部分に聴かせどころが感じられます。
第1楽章・2楽章ともすぐれた出来栄えで、本曲はなかなかの佳曲だと思います。

ハイドンは生涯に100曲以上の交響曲を作曲しており、「交響曲の父」と呼ばれるわけですが、室内楽の分野でも弦楽四重奏曲、ピアノ三重奏曲、バリトン三重奏曲等、数多くの佳作を作曲しています。しかし実演では、「皇帝」「ひばり」など弦楽四重奏曲の中の数曲の有名曲を除き、ほとんど取り上げられていません。
ハイドンのピアノ・トリオともなると、聴いたことがないというファンが多いのではないでしょうか。管理人自身も5〜10年くらい前、本ボザール・トリオによる全曲盤を購入するまでは聴いたことがありませんでした。
ハイドンのピアノ・トリオは今日の観点からすると、チェロの役割が乏しい等作曲技法に未熟な点があるのかもしれませんが、そのような批判は的外れというべきです。なぜなら、ハイドンはそのようなことは百も承知で作曲したのです。
彼の約40曲のピアノ・トリオは、作曲技法は単純であってもたいへん耳に心地よく、何回聴いても退屈するようなことはありません。そのうえ時々ハッとするような美しい個所に遭遇することができます。こんな良い曲があったのか、と宝の山を掘り当てたような気持ちになります。ハイドンのピアノ・トリオは、彼の約80曲の弦楽四重奏曲と共に、管理人のような室内楽ファンにとっては、一生側に置いて時々取り出しては耳にしたい宝物なのです。
残念なことにハイドンのピアノ・トリオは、彼の弦楽四重奏曲以上に録音に恵まれないようです。HMVのサイトを見てみても、本ボザール・トリオ以外に全曲盤は見当たらないように思います。以前は古楽器系のアンサンブルによる全曲盤が出ていたように思うのですが…。彼のピアノ・トリオにもっとスポットが当たることを願います。
またボザール・トリオには感謝しかありません。同トリオのような世界的に有名な常設ピアノ・トリオが、ハイドンに着目してくれたお蔭で、管理人を始めとする室内楽ファンは、心が豊かになる時間を持つことができたのです。

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