ピリスのモーツァルト「ピアノ・ソナタ第12番K332」

今日も東京は暑い日が続きました。ただし管理人は暑さ慣れしてしまい、それほど苦には感じませんでした。毎年思うのですが、暑さ慣れした頃に夏が終わり、寒さ慣れした頃に冬が終わります。

今日の1曲は、マリア・ジョアン・ピリス(p)の演奏するモーツァルトのピアノ・ソナタ第12番ヘ長調K332です。1974年1、2月の東京・イイノホールでの録音です。ピリス(1944年生まれ)が若き日に日本で行ったモーツァルトのピアノ・ソナタ全曲録音(レーベルはDENONです)の一環です。

K332は急・緩・急の3楽章構成を取ります。いずれの楽章も流麗なモーツァルトらしい曲想ですが、第2楽章で一時短調に転調するなど変化の多い曲です。管理人の好みは、流麗・快活で聴いていて楽しくなる第3楽章です。本曲は、モーツァルトのピアノ・ソナタの中で、その直前の第11番K331がトルコ行進曲の付いた有名曲であるせいもあって、どちらかというと目立たない存在なのかもしれませんが、愛すべきソナタであるとともに、実は印象に残るソナタではないでしょうか。

ピリスの演奏は早いテンポでのフレッシュなみずみずしいものです。管理人は、昨年4月のピリスの日本での引退公演を聴きに行きましたが、彼女は管理人の行った日の最初に本曲を取り上げました。その時、思いがけず早いテンポで驚いた覚えがありますが、この早いテンポがピリスが若い日から一貫して抱いていたテンポ感なのかもしれません。
ところで管理人は、このピリスの若き日のDENONレーベルのモーツァルトのピアノ・ソナタ全集をたいへん愛好しています。管理人がモーツァルトのソナタ全集で最も好んでいるのは、まろやかで心優しいラローチャのRCA録音ですが、その次がフレッシュなピリスのDENON録音だろうと思います。
ピリスは後年DGレーベルにモーツァルトのソナタ全集の再録音を果たしました。一般には再録音の方が評判が良いのかもしれませんが、管理人の好みは初回のDENON録音です。初回録音の方がフレッシュで自然体で、ピリスの良さが現れているように思います。

モーツァルトのピアノ・ソナタについて、往年の大ピアニスト、アルトゥール・シュナーベルは「子供が弾くには簡単すぎ、大人が弾くには難しすぎる」と語ったと伝えられています。名言です。
モーツァルトのピアノ・ソナタのような、単純素朴な面と、優雅で洗練された至純の音楽という面を合わせ持った曲は、若いピアニストが自らの感性の赴くままに一気呵成に弾くか、世の中の甘いも酸いも経験し尽くした高齢のピアニストが一音一音に心を込めて弾くか、ちょうど対照的な方向から名演が生まれるのではないでしょうか。前者の代表が今日聴いたピリス旧盤ではないかと思うのです。

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