ラグビーW杯決勝、イングランド対南ア(11月2日)

昨日11月2日、横浜国際総合競技場で行われたラグビーW杯決勝、イングランド対南アフリカ(以下、「南ア」とします)戦をテレビ観戦した。
イングランドにとっては3大会ぶり4回目、南アにとっては3大会ぶり3回目の決勝進出である。両国は2007年大会決勝でも顔を合わせており、その時は15ー6で南アが勝利を収めている。
昨日の試合は、結果から言うと、南アが32ー12でイングランドを下し、2007年以来3回目の優勝を達成した。

この試合、イングランドは準決勝と同様SOにフォードを起用して、ファレル(主将)はインサイドCTBで先発した。南アは小兵WTBコルビの負傷が治り、右WTBでの先発である。

試合は、1分、南アSOポラードがロングPGを狙い、外れたところから始まった。
2分イングランドの右PRシンクラーが負傷しコールと交代した。マスコミ報道を見ると、この試合でのイングランドのスクラムの劣勢さらに試合の敗北はこのシンクラーの負傷が原因とする論調が多い。だが、代わって入ったコールは、長年のイングランドの右PRを守り続けてきた、スクラムの強いベテランであり、イングランドのその後のスクラムの劣勢がシンクラーからコールへの交代が原因とするのは妥当でない。
南アは再三スクラムで優位に立ち、9分ポラードのPGで3点先制した。
しかしイングランドはパスミスなどのミスが目立つ。南アのプレッシャーが強いせいだろうと思う。
22分、イングランドはSOファレル(主将)のPGで3ー3の同点とした。
この時間帯、南アHOンボナンビ、LOデヤハーがともに負傷のため、それぞれマークス、モスタートと交代した。
25分、イングランドはスクラムで反則を犯し、南アがポラードのPGで6ー3とした。

28分頃からイングランドは南アゴール前に攻め込み、再三左PRマコ・ヴニポラ、NO8ビリー・ヴニポラら突破力のある選手にボールを集めてタテ突破によるトライを狙った。だが、南アの持ち前の堅守で34分のファレルのPGによる3点という最小限による失点に留めた。この時間帯の南アのゴールを背にしてのディフェンスは気迫溢れるもので、ここで南アの守りがイングランドの攻めを上回ったことが勝敗につながったように思う。
南アは38分、42分ポラードのPGにより3点ずつ加点し、12ー6で前半を折り返した。42分のPGはイングランドのスクラムでの反則によるものである。

前半は南アがスクラムではっきり優位に立ったのが大きく、同国FW同士の肉弾戦で南アが上回っていた。

後半開始早々、イングランドはセンターライン付近で横に展開しようとするが、南アの激しいディフェンスに逢い、ゲインを越えることができなかった。
後半3分、南アは左PR「ビースト」ムタワリラに代えてスクラムの強さ世界一と言われるキツォフ、右PRマルハーバに代えてコッホを投入した。マスコミによると、マークスと共に「ボム・スコッド」(爆弾投下班)と言われるメンバーである。なお退いたマルハーバもスクラムが強い上ワークレートも高い、良い選手だ。
5分南アは又もスクラムを押してイングランドの反則を誘い、ポラードのセンターラインを少し敵陣内に入った地点からのロングPGで15ー6とリードを広げた。
9分、イングランドは左PRマコ・ヴニポラ、SOフォードに代えて、マーラー、スレードを投入した。これでファレルはSOの位置でプレーすることになった。逆転のためラインを上げる攻撃的な布陣を取ったものと思われる。
11分、イングランドはそのファレルのPGで3点を返したが、14分今度はファレルがPGを外した。
17分ポラード、19分ファレルのPGで18ー12となった後、23分ポラードがなんと自陣からPGを狙ったが、これは外れた。3点の追加を狙ったというより、味方を休ませることと、時間稼ぎの意図ではないだろうか。
23分、南アは主将のFLコリシをベテランのロウに交代させた。
そして26分にビッグ・プレーが出た。南アは、敵陣に入ったところでのマイボール・スクラムからブラインドサイドを衝いた。この日キック・チェイスの面で活躍の目立った左WTBマピンピがイングランドDFの背後にキックを上げた。ボールを拾ったアウトサイドCTBアムから再びマピンピにボールが渡り、彼がこの試合両チームを通じて初のトライを上げた。ポラードのゴールで25ー12とリードを広げた。勝利をぐっと引き寄せたトライだった。
さらに33分には怪我から復帰したばかりの右WTBコルビが、イングランドDFをかわして、勝利を決定づけるトライ(ポラード、ゴール)。これで南アが32ー12と意外な差を付けた。
そして32ー12のスコアのままノーサイドとなった。
南アが12年ぶり3回目の優勝を達成した。

南アの勝因は、まずスクラムでの圧倒的優位である。それにFW同士の肉弾戦でも南アが有利だった。前に出る激しく堅いディフェンス、ポラードの正確なキック、FBルルーの上手いキックキャッチも大きな勝因である。
ただし選手の中で、さらに決勝に限らず今大会を通じて、一人挙げるとすれば、ブラインドサイドFLピーター・ステフ・デュトイかNO8フェルミューレンだろうと思う。南ア伝統の質実剛健なFWを体現したフェルミューレンは大活躍したが、デュトイは2メートル119キログラムという大型FLで、どの試合も80分間走り続け、激しいタックルを浴びせ、接点でのボール確保に貢献した。大会MVPはデュトイではないだろうか。

その上、管理人はニュースであまり取り上げられていない点を指摘したい。
それは選手交代を上手く利用していることだ。FW第1列は、先発のムタワリラ、ンボナンビより交代で出場したキツォフ、マークスの方がスクラムが強くパワフルな選手だ。特にマークスは世界一のHOと称される好選手である。
知将・南アのラシー・エラスムス監督は、前半ムタワリラ、ンボナンビを起用して競り合った点差のまま後半の勝負に持ち込み、後半の相手の運動量が落ちてきた勝利どころでキツォフ、マークスを投入して勝負をかける作戦だと思われる。ラグビーに限らず野球でもサッカーでも、一般に選手交代というものはパフォーマンスの落ちてきた選手を交代させるものだ。このように選手交代を戦術的に利用するのは、珍しい作戦だ。そして、決勝トーナメント1回戦のジャパン戦と決勝のイングランド戦では、明らかにこの選手交代戦術が奏功した。

管理人は1992年、南アが国際舞台復帰に復帰した時から一貫して、南ア・ラグビーを応援している(南アは1980年代から1990年代まで10年近くの間、アパルトヘイト政策に対する制裁を受け、ラグビーの国際マッチを組むことができなかった)。昨日は12年ぶりに嬉しい思いをした。しばらくは幸福に浸っていたい。

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