ロストロポーヴィチ/アルゲリッチのショパン「チェロ・ソナタ」

ショパン:チェロ・ソナタ、序奏と華麗なるポロネーズ/シューマン:アダージョとアレグロ - アルゲリッチ(マルタ) ロストロポーヴィチ(ムスティスラフ)
ショパン:チェロ・ソナタ、序奏と華麗なるポロネーズ/シューマン:アダージョとアレグロ - アルゲリッチ(マルタ) ロストロポーヴィチ(ムスティスラフ)

今日の日曜日は、東京は雲一つない秋晴れの好天気でした。
今日はショパンの「チェロ・ソナタ」ト短調作品65を聴きました。
演奏は、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(vc)とマルタ・アルゲリッチ(p)です。1980年3月のDGへの録音です。
ロストロポーヴィチ(1927ー2007)53歳、アルゲリッチ(1941ー)39歳の時の録音ということになります。

本曲はショパン唯一のチェロ・ソナタです。急・急・緩・急の4楽章構成を取ります。
演奏時間は本録音で約30分ですが、その中で緩徐楽章である第3楽章の演奏時間は僅か3分41秒にすぎません。全体の9割近くを急速楽章が占めていることになります。そのことから察することができるように、ダイナミズムとロマンティシズムが渦巻く、たいへん情熱的な曲です。中でもチェロが朗々と旋律を演奏する第2楽章が最大の聴きものではないでしょうか。

チェロのために書かれた作品は、バッハの「無伴奏チェロ組曲」とベートーヴェンの「チェロ・ソナタ」が最も有名なですが、ロマン派の作曲家は意外なほど作品を残していません。本曲ショパンのソナタ以外には、シューベルトのアルペジョーネ・ソナタ、メンデルスゾーンとブラームスのともに2曲のチェロ・ソナタ、シューマンのチェロ協奏曲が目立つ程度です(シューマンはチェロのための小品をある程度残していますが)。
本曲は、ショパンがあまりにも多くのピアノの名曲を残しすぎたせいで、今一つクローズアップされにくい位置にいるように思いますが、数少ないロマン派のチェロ作品として珍重すべき曲ではないでしょうか。

ロストロポーヴィチとアルゲリッチの録音は、その組み合わせの意外感もあって、初出当時大きな話題となったものです。
ロストロポーヴィチは1990年頃からチェリストとしてはその腕が落ちてしまい、指揮活動にシフトしていった感がありましたが、本録音当時は53歳とまだ若く腕の不足はありません。彼が亡命したのは1974年なので当時は亡命6年目ということになり、レパートリーの面でも、共演者の面でも、旧ソ連時代には困難だったことをやりたいようにやれるようになった、意気盛んな時期ではないかと思います。また亡命直後のロストロポーヴィチには、レパートリー・共演者だけでなく、演奏表現の面でも濃厚な個性が出て来ているように思います。本録音でもそれは感じ取れます。濃厚・骨太な演奏です。

また本録音ではアルゲリッチのピアノが、彼女らしく自由奔放な、奔流溢れるような情熱的なものです。

濃厚なロストロポーヴィチと自由奔放なアルゲリッチ、一見うまくいかなさそうな両者のアンサンブルが、本録音では意外にうまく行っているように思います。ショパンの本曲には、それを可能にするものがあったということでしょう。
ロストロポーヴィチは旧ソ連時代には共演ピアニストに恵まれない感がありましたが(名演として有名なリヒテルとのベートーヴェンは西側に出て来てのスタジオ録音で、ソ連国内でロストロポーヴィチとリヒテルが共演することはめったにありませんでした)、本録音ではアルゲリッチのダイナミックな演奏に触発されて、のびのびと演奏している感があります。

ショパンとロストロポーヴィチとアルゲリッチ、三者の幸運な出会いがもたらした名演だと言えると思います。

追記 本録音では、ヴァイオリンでは出せないチェロ独自の悠然とした演奏感が、一切感じられません。管理人は、ロストロポーヴィチは本質的にはバリバリと演奏するタイプだったと思いますが、彼の多くの録音の中には悠然と奏された趣のあるものもないではないと思います。しかし悠然とした演奏がショパンのチェロ・ソナタの性格と適合するか疑問の上、アルゲリッチの早いテンポでの情熱的な演奏の前では、悠然と演奏することは不可能だったと言えるでしょう。

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