ハイティンク/ACOのベートーヴェン「交響曲第8番」

ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」&第8番、他 - ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 ハイティンク(ベルナルト)
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」&第8番、他 - ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 ハイティンク(ベルナルト)
正月3が日は終わりましたが、東京はいぜん晴天が続いています。
昨日、米軍がイランの司令官を殺害しイラン政府が報復を宣言するというニュースが報道されました。米国とイランの間で緊張が高まっています。米国の行動は、今秋の大統領選を念頭においてのものであることが明白であり、暴挙です。ですが、事態が平和裡に沈静化することを願います。

さて今日の1曲は、ベートーヴェンの交響曲第8番へ長調作品93です。
演奏は、ベルナルト・ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(現名: ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団)です。1987年11月4、11日の旧Philipsへの録音です。
ハイティンクは、1970年代にロンドン・フィル、1980年代にアムステルダム・コンセルトヘボウ管、2000年代にロンドン交響楽団を振って、計3回にわたりベートーヴェンの交響曲全曲録音を果たしており、今日聴いたのは2回目の録音の中の1曲ということになります。

ベートーヴェンの交響曲第8番は、第7番に続いて作曲された曲ですが、ワーグナーによって「舞踏の権化」と評されたダイナミックな第7番と比べると穏和な曲です。第7番より演奏時間が短く、こじんまりとまとまった良さが感じられます。曲全体が明朗な雰囲気で、メヌエットの第3楽章など優美さも感じられます。
第8番はベートーヴェンの9曲の交響曲の中では一般の人気はない方だろうと思いますが、管理人の好きな曲です。管理人にとってベートーヴェンの交響曲は、「エロイカ」は別格的存在ですが、その次がこの第8番だろうと思います。メヌエットの第3楽章に大きな魅力を感じる上、第4楽章も、第7番の第4楽章ほどダイナミックではありませんが、その点がかえって好ましく感じられ、好きでいます。

ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(以下、ACOと省略します)の演奏は、1985年のACO創立100周年を記念して録音されたベートーヴェンの交響曲全集の一環です。たいへん素晴らしい演奏だと思います。
ハイティンクというと、日本では中庸、平凡な指揮者という評価が多いように思います(ただし、これはあくまで日本での評価です。管理人はオランダで仕事をしていた方から、ハイティンクはオランダで高く評価されていると聞いたことがあります)。これは不当です。彼は、主観を排して曲の良さ、オーケストラの良さを引き出そうとしているのです。本録音では、ケレン味に全くない、自然体ののびのびした演奏を聴かせてくれます。
特筆したいのは、ACOの音色の良さです。柔和で暖かく円満な音色です。いささかも人工的・金属的になることはなく、暖かな血が通っていることが感じ取れます。

管理人は、オーケストラ曲を聴く時、指揮者の演奏スタイルよりも、オーケストラの音色、ニュアンスを重視します。ウィーン・フィルを例に挙げると、ウィーン・フィルの音色を味わうことが一番で、指揮者であるベーム、バーンスタイン、アバド等がどのような演奏スタイルを取るかは二の次だということです。もっともそのような聴き方をするようになったのは近年のことで、それまでは多くのリスナーと同様指揮者の演奏スタイルに重点を置いた聴き方をしていたのですが…。

ACOは管理人の大好きなオーケストラです。ACOの柔らかく暖かな音色に惹きつけられます。ハイティンクは本演奏でACOならではの音色をうまく引き出してくれます。
曲との相性という点では、管理人はベートーヴェンの交響曲は、ドイツ・オーストリア系のオーケストラに止まらず、フランスやアメリカ、さらに日本のオーケストラでも適合できる普遍性を備えていると考えます。ブルックナーやブラームスの交響曲なら、ローカル性が否めないように思うので、やはりドイツ・オーストリア系のオーケストラだろうと思いますが…。本曲交響曲第8番でも、オランダのACOが演奏しても全く違和感を感じません。それどころか、ACOの音色、ニュアンスは8番の明朗・優美な曲想と相性がぴったりだと思います。

このようにハイティンク指揮ACOによる交響曲第8番は、管理人にとって、好きな演奏団体による好きな曲の演奏であり、いつまでも大切にしたい録音なのです。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 3

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い

この記事へのコメント

2020年01月08日 23:55
はじめまして、よしなといいます。
先ほどは素敵な書き込みありがとうございました。

アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の音は、上品で落ち着いていて私も大好きです。

それはアーノンクールが振れば、とげとげしさが消え、クライバーが振れば喜びを共有し、バーンスタインが振ればその感情に寄り添う、本当に素敵なオーケストラです。

ハイティンクさんはアムステルダム・コンセルヘボウを振りだしてから素晴らしく輝きだしたと私は勝手に思っています。

音楽を聴き続け、愛してこられた事が窺える、アルトゥール様の方向性、丁寧な記事に感動いたしてます。

素敵なひと時をありがとうごどいました。
2020年01月09日 22:39
よしな様
コメントを頂き、有り難うございます。
ハイティンクは1929年生まれ、コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者になったのが1961年なので、32歳の若さで就任したことになります。当初はこれといった個性がなかったと聞きますが、1980年代には巨匠と呼ばれて然るべき指揮者に成長していたと思います。コンセルトヘボウ管に育てられ、コンセルトヘボウと共に成長していったのだろうと思います。
その一方でコンセルトヘボウ管弦楽団は、御指摘のようにバーンスタインやアーノンクールのような個性派ともうまくやれています。懐の深いオーケストラなのだろうと思います。
C・クライバーはコンセルトヘボウを振ったことがあったでしょうか?
自分は10代の頃から40年以上聴いてきて、オーケストラは現在は、ウィーン・フィル、コンセルトヘボウ管、ゲヴァントハウス管をはじめ旧東ドイツのオーケストラが好きでいます。年を取るにつれて耳に優しいサウンドに惹かれるようになったのだろうと思います。
2020年01月09日 23:44
こんばんは。
丁寧な返信ありがとうございます。

C.クライバーはベートーヴェンの交響曲 第7番・第4番を1983,年10月19-20日にライブで振り、それはユニテル制作のDVD(PHILIPS PHBP-1004 [070 300-2])にて発売されていて、私はそれを楽しんでいます。

寄らせて頂くのを楽しみにいたしてます。
2020年01月10日 18:46
よしな様
クライバーがコンセルトヘボウを振った記録が残っているのですね!
貴重な情報をいただき、有り難うございます😀