バリリSQのモーツァルト「弦楽四重奏曲第12番」

モーツァルト:弦楽四重奏曲集 - バリリ四重奏団, バリリ四重奏団, モーツァルト
モーツァルト:弦楽四重奏曲集 - バリリ四重奏団, バリリ四重奏団, モーツァルト
今日日曜の東京は午前午後と快晴ですが、夜に天気が崩れると伝えられています。
管理人は、午後散歩に出ましたが、それ以外は巣ごもりの一日を過ごすつもりです。

今日は、モーツァルトの弦楽四重奏曲第12番変ロ長調K172を聴きました。
演奏はバリリ弦楽四重奏団です。1955年3月のWestminsterへの録音です。

モーツァルト(1756ー1791)は1773年夏のウィーン旅行の際6曲の弦楽四重奏曲を作曲しました。弦楽四重奏曲第8番K168から第13番K173までの6曲です。ウィーンで作曲されたことから「ウィーン四重奏曲」と呼ばれることがあるとのこと(ライナーノート=松田聡)ですが、そのような呼称月付いたのは最近のことではないでしょうか。

今日聴いた第12番は「ウィーン四重奏曲」の5曲目ということになります。急・緩・急・急の4楽章構成です。
第1楽章は穏やか・のどかでユーモアが感じられます。魅力的な楽章です。
第2楽章はアンダンテですが、優雅でじっくりとしており、情感豊かです。
第3楽章のメヌエットが本曲の白眉ではないでしょうか。穏やかな、行きては返す波のようなのんびりとした風情があります。最も上質なユーモアと、豊穣さの感じられる楽章です。
第4楽章は快速ですが、その中にも優雅さが感じられ、魅力的なフィナーレだと思います。

このように本曲はメヌエットの第3楽章をはじめたいへん魅力に富んだ傑作だと思います。
モーツァルトの弦楽四重奏曲というと第14番から第19番までの「ハイドン・セット」が有名な反面、それ以前の13曲の弦楽四重奏曲は著名なカルテットでも録音を残していないケースが少なくありません。確かに6曲の「ハイドン・セット」は傑作ですが、モーツァルトはそれ以前にも本曲をはじめとする弦楽四重奏曲の傑作を創作していることを特筆したいと思います。

バリリSQの演奏は、きちっとした端正さの中にも、どこか良い意味での心のゆとりが感じられるものです。第3楽章の弾き方などは絶品です。
バリリSQのモーツァルトは、本曲に限った話ではないですが、本当に名演だと思います。
現代のカルテット、アルバン・ベルクSQが登場して以降のカルテットは、バリリSQよりも技術的には上回っているとしても、何かを失ったのではないでしょうか。現代のカルテットはシャープになり豊麗になって、ゆとりが失われたように思うのです。
もちろん演奏技術が向上することが悪いことのはずはありません。ですが、バリリSQの持っていた味わい深さのようなものは、演奏技術の向上と反比例して失われていったように思うのです。

追記(4/12) 管理人は本曲の同曲異演は、ベルリンSQ(ズスケSQ)盤とイタリアSQ盤を持っています。今日ベルリンSQ盤も聴いてみました。
ベルリンSQはかちかちと真面目に演奏しすぎているかなと思うので、管理人の好みはバリリSQですが、ベルリンSQ盤も名演だと思います。

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この記事へのコメント

2020年04月16日 00:52
こんにちは、いつも大変お世話になっております。
ウィーン四重奏曲の魅力が伝わってくる味わい深く、愛情の伝わる素敵な記事に、音楽を聴くような安らぎを感じます。
コロナの影響をなるべく避けるべく、主人のご両親の元での疎開生活で家事に追われる毎日ですが、今日はバリリSQの特徴をお聞きする事が出来、アルバン・ベルクSQから弦楽四重奏の世界に入った私はバリリSQの心のゆとりと味わい深さのある演奏に、私の聴きたいものを感じとても心に焼き付きました。
素敵な記事をありがとうございます。
コロナの一刻も早い終息を願うと共に、耐えて行くことを音楽が助けてくれることを信じています。
2020年04月17日 19:03
よしな様
コメントを頂き、有り難うございます。
吉田秀和先生が、モーツァルトの弦楽四重奏曲はハイドン・セットがあまりに傑作なので、それ以前の曲にスポットが当たらない、と何かに書かれていたのを覚えていますが、その通りだと思います。
アルバン・ベルクSQ、ジュリアードSQ、スメタナSQ等の名門が、ハイドン・セット以前の作品を録音していないのは残念です。
アルバン・ベルクSQはカラヤンのような存在だったと思います。圧倒的存在感があった反面アンチも多かったと思います。今聴いてみると、同SQのモーツァルトもベートーヴェンも、一世を風靡しただけの演奏だったと思います。