ユジャ・ワン/アバドのラフマニノフ「パガニーニ狂詩曲」

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番/パガニーニの主題による狂詩曲 - ユジャ・ワン, ラフマニノフ, アバド(クラウディオ), ユジャ・ワン, マーラー・チェンバー・オーケストラ
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番/パガニーニの主題による狂詩曲 - ユジャ・ワン, ラフマニノフ, アバド(クラウディオ), ユジャ・ワン, マーラー・チェンバー・オーケストラ
今日は暦上春の最後の日ということになります。今春は、新型コロナウイルスの感染拡大により日本人の社会・経済上の行動が停止又は大きな変更を余儀なくされた春として、歴史に残る春となりそうです。なお今日の東京の天気は曇り空でした。

今日の一曲はラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」(パガニーニ狂詩曲、パガニーニ・ラプソディ)作品43です。
演奏はユジャ・ワン(p)とクラウディオ・アバド指揮マーラー室内オーケストラです。2010年4月のDGへの録音です。

ラフマニノフのパガニーニ狂詩曲は、ピアノ協奏曲第2番・第3番と並ぶラフマニノフの有名曲です。パガニーニの主題と24の変奏曲から成り、特にロマンティックな第18変奏は独立してレストランやホテルのラウンジで聴くことも多い、一般的な有名度の高い曲です。
ところでユジャ・ワン/アバド盤のライナーノート(ジェシカ・デュシャン(訳: 岩下久美子)を読んでいると、次のような記述がありました。
パガニーニ狂詩曲は3楽章形式の協奏曲とも解することのできる形式となっています。第1楽章は主題の提示から第15変奏まです。次に第16変奏から有名な第18変奏までの緩徐楽章に当たる第2楽章です。最後に第19変奏から最後の第24変奏までのスケルツォに当たる第3楽章です。

これは管理人が初めて目にする論説で、音楽学上の定説なのかどうか疑問です。ただし、上記のような先入見を持って鑑賞してみると、そのように聞こえなくもない、という感想を持ちました。
全体としては変幻自在、千変万化の変奏の妙を楽しむべき名曲だと思います。

ユジャ・ワンの演奏は、まず技術的に非常にすぐれています。
本曲は演奏困難な難曲として有名です。管理人が本曲を初めて聴いた時の演奏はルービンシュタイン/ライナー/シカゴ響だったと思います。その後アシュケナージ/ハイティンク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管のCDを入手し、以来アシュケナージ盤で楽しむことが多かったのです。今回のユジャ・ワン盤は、音が隅々まで鳴っている、鳴り切っているという点ではルービンシュタイン、アシュケナージよりも上だと思われます。
ユジャ・ワン盤にはロシア的情緒は稀薄です。本曲を客観的に純音楽的に捉えた演奏です。本曲には、同じラフマニノフのピアノ協奏曲第2・3番と比べて更に民族的要素が少なくピアニスティックな要素が強いことを考えると、ユジャ・ワンのようなアプローチが適切なように思います。
またルービンシュタインは第18変奏で印象に残る、たいへん堂々とした演奏をしていました。これに対してユジャ・ワンは第18変奏に焦点を置かず、同変奏を24にわたる変奏の一環として捉えているように思います。この点も好感が持てます。

また最晩年のアバドが若い演奏家を集めて結成したマーラー室内オーケストラの演奏が、たいへんしっかりとしていて、ルービンシュタイン盤でのシカゴ響やアシュケナージ盤でのコンセルトヘボウ管のような超一流オーケストラに劣らない精度です。

本ユジャ・ワン/アバドによるラフマニノフ「パガニーニ狂詩曲」は相当なハイレベルの名演だと思います。

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この記事へのコメント

yositaka
2020年06月09日 13:07
3楽章と見る見方もあるんですか。へえー、面白い。
そういえば最近、ラジオ番組で第18変奏から最後までの抜粋放送していました。それなりにまとまった1曲に聞こえて、面白かった覚えがあります。
私にはちょっと退屈な曲なので、これからはこうやって聞いてみようかと思ったものです。
ユジャ・ワンの演奏も聴いてみたくなりました。
2020年06月12日 23:59
ネコパパ様
コメントをいただき、有り難うございます。
またレスが遅れ、申し訳ありませんでした。

パガニーニ狂詩曲を3楽章と見る説は私は他で見たことがなく、ライナー執筆者のデュシャン氏の独自説ではないかと思います。
私も本曲はそれぞれ聞く回数の多い曲ではないです。生で聴いたら聞き映えのしそうな曲だと思います。
今は、ユジャ・ワン以外にも、演奏技術の高い多くのピアニストが本曲を手掛けているだろうと思います。ただし、晩年までラフマニノフをあまり取り上げてこなかったアバドの演奏を楽しめる一枚だと思います。
2020年07月13日 22:24
ラフマニノフのパガニーニ狂詩曲は、ピアノ協奏曲より好きで、愛聴しています。
ユジャ・ワンで一番印象に残っているのは、ラフマニノフのパガニーニ狂詩曲で、デュトワ/NHK交響楽団とのライヴをテレビで観たときでした。(違法ですが)YouTubeでも観ることができるので、是非ご覧になってみてください。ユジャ・ワンがとても初々しいです。
アバドとのCDが発売されたときもすぐに購入しました。ユジャ・ワンのCDはすべて所有しているのですが、サインをもらうためにコンサート会場でも買っているので、同じCDが2枚ずつあるのです。大好きなピアニストなんですよ……。
アルトゥール
2020年07月28日 18:21
ハルコウ様、コメントを頂き、有り難うございます。
また、コメントを頂いたことに長く気がつかず、大変な遅レスになってしまい、申し訳ありませんでした。

お教え頂いたユジャ・ワン/デュトワのyoutubeは見てみました。やっぱり画像で見ると臨場感がありますね。私は中国出身ので音楽家を聴いたのは彼女が事実上初めてなのですが(リ・ユンディ、ラン・ラン等は殆ど聴いたことがないのです)、人口大国なので今後すぐれたタレントが次々出てくるだろうと思います。
ユジャ・ワンのサインを持っておられるのは羨ましいです。私は実演の彼女はまだコンチェルトしか聴いたことがなく、まだサイン会には遭遇できずにいます😅