ウェルナー・ハースのラヴェル「水の戯れ」

今日は梅雨らしい曇り空の一日でした。
今日はラヴェルの「水の戯れ」を聴きました。演奏はウェルナー・ハース(p)です。1964年5月11〜16日の旧Philipsへの録音です。

ラヴェル「水の戯れ」はこのハース盤で4分55秒という小曲です。水の様々な表情を描いた曲として知られており、完成度の高い曲です。
本曲は1901年の作で、ラヴェル(1875ー1937)26歳の青年期の作品ということになりますが、ラヴェルが若年の頃から完成度の高い作品を創作していたことが分かります。
ちょうど水彩画の世界です。油彩画に例えるべきオーケストラ曲のような濃厚さ・色彩の豊かさは乏しいのですが、洗練度・凝集性が高く、聴き手を水にまつわる様々なもののイマジネーションへと誘う曲です。
仕事か何かのBGMとしては聴けない曲だと思います。スピーカーに対峙して耳を澄まして聴きたい曲です。
また夏に聴くのにちょうど良い曲だと思います。

ウェルナー・ハース(1931ー1976)は巨匠ワルター・ギーゼキングの高弟として知られるピアニストです。40代半ばの若さで交通事故のため亡くなっています。
本録音ではギーゼキング譲りの客観的で明晰な演奏を聴かせています。音が隅々まで鳴っているという点ではギーゼキングよりも上でしょう。フランス的な香りは感じられない演奏ですが、本曲は同じラヴェルの「夜のガスパール」「鏡」等と異なり、フランス的な香りは不要な曲のように思います。ギーゼキングやハースのようなアプローチが本曲にふさわしいように思います。
管理人のように1970年代からクラシックを聴き始めた世代にとっては、ドビュッシー、ラヴェルのピアノ音楽はまずギーゼキングなのではないでしょうか。我々の世代は、ドビュッシー、ラヴェルのピアノ曲がどのような曲なのか、ギーゼキングによって教えられたように思います。そのような思い出があるので、ギーゼキングと同様明晰なハースにシンパシーを感じるのです。
ハースの演奏は、ギーゼキングのスタイルを柔らかく清澄な旧Philpsの優秀なステレオ録音で聴くことができる(ギーゼキング盤はモノラル録音でした)という、貴重な録音だと思います。管理人はここ数年、ドビュッシー、ラヴェルのピアノ曲を聴く時はハース盤で聴くことが多いです。



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この記事へのコメント

2020年06月25日 00:45
アルトゥール様、こんばんは。
いつも大変お世話になっております。

ギーゼキングが当時の人々に強く印象付けられている事が伝わってきました。
いい演奏だからと買ったギーゼキング盤にそういった思い入れを持たれる方々の事を知る事が出来、新しい気持ちで聴けるように思えます。

ウェルナー・ハースさんの事、初めて知る事が出来ました、素敵な情報ありがとうございます。
2020年06月25日 19:29
よしな様
コメントを頂き、有難うございます。
1970年代はLP時代だったので、今ではあり得ない制約があったと思います。LP1枚が2千円以上かかった上、LPは場所を取るという問題もありました。
ラヴェルのピアノ曲というと多くのファンが1種類しか持っていなかったと思います。
私自身ラヴェルは、評論家の間で評判の良かったギーゼキング盤を買っただけで他に何も聞いたことがないという時代が長く、ギーゼキングの刷り込みが強いという面はあります。今は正反対のスタイルのフランソワなども買い揃えて聴き比べができるのが当然になり、時代は変わったと実感します。