ワルター/コロンビア響のハイドン「交響曲第100番『軍隊』」

ハイドン/交響曲第88番「V字」&第100番「軍隊」 - コロンビア交響楽団, ハイドン, ワルター(ブルーノ), コロンビア交響楽団
ハイドン/交響曲第88番「V字」&第100番「軍隊」 - コロンビア交響楽団, ハイドン, ワルター(ブルーノ), コロンビア交響楽団
東京は今日は雨の予報でしたが、午後まで雨は降り出さず、曇り空で湿度の高い1日が続いています。昨日までは暑い日が続いていましたが、今日は気温が低下して急に涼しくなり、本格的な秋の到来が感じられます。

今日の1曲は、ハイドンの交響曲第100番ト長調Hob1-100「軍隊」です。演奏はブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団です。1961年3月の録音です。
本曲は、4楽章構成を取ります。
第1楽章は厳粛さの感じられる冒頭部分に始まり、明朗かつ堂々とした楽章です。
第2楽章は壮麗で、古典的格調の高さが感じられます。
第3楽章はメヌエットです。優雅でありながらも、堂々とした貫禄も感じられます。
第4楽章はプレストです。明快ですが、やはり堂々とした面が強いように思います。

本曲はハイドンの全部で100曲以上作曲された交響曲の中で、最後期の作品です。第94番から104番までの「ザロモン・セット」の中の1曲です。ハイドンの全ての交響曲の中で第101番「時計」とともに最も有名なのではないでしょうか。
管理人も本曲が傑作であることを否定するつもりはありません。
しかし管理人は今春、Brilliantレーベルの160枚組の「Haydon Edition」を買いました。交響曲から声楽曲まで、ハイドンのほぼ全ての作品が網羅されている大ボックスです。その中アダム・フィッシャー指揮オーストリア・ハンガリー・ハイドン管弦楽団の演奏による交響曲全曲が含まれていたので、テレワークをしながら一通り聞きました。
管理人は室内楽のファンなので、ハイドンの弦楽四重奏曲やピアノ三重奏曲、ピアノ・ソナタ等は全曲を何回も聴いていますが、交響曲については初期・中期の曲はニックネーム付きの曲を聴いたことがあるくらいで、交響曲の全曲を通して聴くのは初めてだったのです。
すると、ニックネームのない、あまり知られていない交響曲の中に佳曲が多いという感想を持ちました(もっとも仕事をしながら聴いたので、あまり自信はありませんが)。本ブログでは、ハイドンの約80曲の弦楽四重奏曲は一般に、晩年の「エルディーディ四重奏曲」が有名であるものの、実際にはそれ以外にも「エルディーディ四重奏曲」に匹敵するような傑作が多い、ということを何回か述べたことがあります。交響曲にも同様のことが言えるのではないでしょうか。すなわちハイドンの交響曲では晩年の「ザロモン・セット」が有名ですが、実際にはそれ以外にも「ザロモン・セット」に匹敵するような傑作が多いのです。

本曲「軍隊」も数あるハイドンの交響曲の傑作の中の一つという位置づけが適切なように思います。

ワルター指揮コロンビア響の演奏は、昔から有名なものだと思います。ワルター(1876-1962)85歳の時の録音ということになります。
コロンビア響とは、プロデューサーのジョン・マックルーアのプロデュースの下、ワルターの交響曲指揮のため、ロサンゼルス・フィルのメンバーを中心に全米から集まったメンバーにより臨時編成されたオーケストラです。
ワルター最晩年のコロンビア響を振っての多くの録音については、オーケストラの実力不足が色々言われているようです。
しかし私見では、それらの批評には重要なことが抜け落ちています。ワルターは当時80歳を超える年齢で心臓に持病を抱えていました。もしニューヨーク・フィルやシカゴ響のようなビッグ・オーケストラなら、晩年のワルターはそれを振って録音したりしなかっただろう、ということです。
いくら大指揮者であっても、ビッグ・オーケストラに向かう際にはそれなりの緊張感・集中力が要求されます。ロス・フィルのメンバーを中心にした寄せ集めのようなオーケストラだからこそ、高齢で心臓病を抱えたワルターは、気楽な気持ちで、マックルーアのオファーを受けて多くの録音を残したのだと思います。
このような事情がある以上、最晩年のワルターの録音についてコロンビア響の実力不足を云々するのは、ピントがずれています。

今日のハイドン「軍隊」でのワルターの演奏は、いかにも温和でのんびりとして春風駘蕩としています。ハイドンの温和な曲想に非常にマッチしています。
ワルター/コロンビア響のハイドンは、本曲とカップリングされている第88番「V字」だけですが、ワルターとハイドンの相性の良さがを実感させられる名演だと思います。

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この記事へのコメント

yositaka
2020年09月23日 12:34
これは素晴らしいハイドンですね。今から見ると、大編成で古いスタイルかもしれませんが、安心してどなたにでもお勧めできる盤だと思います。
「ザロモン・セット」、もちろん傑作ですが、交響曲でも奏者のソロを重視したハイドンとしては、合奏重視の、ちょっともっさりした感じになっているのは否定できません。ロンドンでは、人数は多くても個々技量の低いオーケストラ、という条件に合わせる必要があったからです。
私は、それ以前のパリ交響曲や、40番台のエステルハージの名人オーケストラのために書いたもののほうにハイドンの魅力が全開しているように思います。ワルターも、そういう作品を取り上げてほしかったと思います。
アルトゥール
2020年09月23日 22:46
ネコパパ様
コメントをいただき、有り難うございます。
私自身、ハイドンの交響曲を一通り聞いて(大半の曲が「ながら聞き」だったので自信はありませんが)、「ザロモン・セット」以外に傑作が多いような印象を受けました。御指摘のようなロンドンのオーケストラの力量の問題があったのですね。
ワルターは元々ハイドンをあまりレパートリーにしていなかったように思います。彼の関心はモーツァルト、マーラー(ベートーヴェンも?)が中心だったのではないでしょうか。
ハイドンとの相性は良いような感想を持ちましたが、ワルターの活躍した時代はハイドン自体があまり評価されていなかったことが背景にあると思います。