ブレンデル/マッケラスのモーツァルト「ピアノ協奏曲第20番」

今日の東京は曇りがちの1日ですが、湿度は高くなく、過ごしやすい1日です。
今日はモーツァルトのピアノ協奏曲第20番二短調K466を聴きました。
演奏はアルフレート・ブレンデル(p)とチャールズ・マッケラス指揮スコットランド室内管弦楽団です。1998年の旧PHILIPSへの録音です。

モーツァルトのピアノ協奏曲第20番は言うまでもなく、傑作揃いのモーツァルトのピアノ協奏曲の中でも有数の傑作です。第24番K491とともに珍しい短調の曲です。
第1楽章はデモーニッシュな迫力のある導入部分で開始されます。悲痛・痛哭の感情が込み上げてくるようです。デモーニッシュな迫力という面で交響曲第40番ト短調K550の第1楽章に匹敵するものがあります。
ただし中間部分で転調して優雅な曲想に変わります。転調の妙が感じられます。
第2楽章は可憐かつ静謐な楽章です。第1楽章との間に大きなコントラストがあります。この第2楽章はなかなかの傑作ではないでしょうか。
第3楽章は一転して、哀感の込み上げてくる楽章でデモーニッシュな迫力が感じられます。この楽章でも中間部分では転調して優雅な曲想となります。

本曲は、各楽章はよく創られていますが、それとともに動→静→動、暗→明→暗という変化・コントラストが激しく鮮やかで、全曲を聴いて充実感に満たされます。
モーツァルトのピアノ協奏曲の中での管理人のイチオシは23番K488ですが、この20番も、21番、23番、24番等と並び、甲乙つけがたい大傑作であることは間違いありません。

ブレンデルの演奏はオーソドックスな模範演奏です。全体的に感性のおもむくままに演奏されたような面はなく、彼らしく知的にコントロールされた演奏です。第2楽章のデリケートな弾き方にブレンデルの個性が出ています。
ただしカデンツァはブレンデル自身の作ですが、やり過ぎではないでしょうか。もっと大人しい弾き方の方が良かったように思います。
マッケラス指揮スコットランド管のバックは、さすがにモーツァルトの交響曲全集を完成させている同コンビで、文句のつけようがないほど完璧で充実しています。

ここで、これまで本曲の名演とされてきた録音について、一言コメントをしたいと思います。
ハスキル/マルケヴィッチ/ラムルー管弦楽団(旧フィリップス、1960年録音)の演奏は、ピアノが物足りないと感じます。またオーケストラも、演奏スタイル・実力ともに問題があると思います。1960年初頭という時期の録音ではカサドシュ/セル盤の方が良いようの思います。
グルダ/アバド/ウィーン・フィル(DG、1974年録音)の演奏は、アバド/ウィーン・フィルの演奏が素晴らしいと思います。グルダの演奏も完璧と言え、管理人はグルダ/アバド盤を好んでいた時期はありました。しかし現在の管理人にとっては、グルダの演奏が自分の求めるモーツァルト像と異なってきたように感じます。現在の管理人は、生き生きとして精彩に富んだグルダよりも、ブレンデルのようなもっと地味なスタイルが好きなのです。
カーゾン/ブリテン/イギリス室内管弦楽団(デッカ、1970年録音)の演奏は、カーゾンのクリスタルなサウンドがたいへん美しい名演です。管理人はカーゾン盤をブレンデル/マッケラスと並ぶ本曲演奏の両横綱に挙げます。ただしカーゾン/ブリテンのモーツァルトでは、本20番よりも27番K595の方がより美しく、名演のように思います。

追記(10/7) 本曲の管理人の好んでいる演奏は、録音年代順にカサドシュ/セル、カーゾン/ブリテン、ピリス/ジョルダン、それに本ブレンデル/マッケラスあたりです。もっとも21世紀に入ってからの録音は、ほとんど聴かずじまいになっています。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

yositaka
2020年10月06日 13:43
私もカーゾン/ブリテンは至高の一枚だと思います。すべてはこの1枚を基準に。となれば、初録音のエドウィン・フィッシャー以下、素晴らしい録音には事欠かない、幸せな名曲です。思うままに挙げればシフ/ヴェーグ、ペライア、ピリス/ジョルダンなど。
ハスキルは、マルケヴィチとの共演よりも、フリッチャイ、クレンペラー、ヒンデミットとの放送録音のほうが、より魅力的だと思います。ただ、このピアニストはなかなか不思議な存在で、ときどき無条件に聞きたくなるのですが、一般にお勧めできる人ではない気が。
2020年10月07日 18:02
ネコパパさま
コメントをいただき、有り難うございます。
また、カーゾン/ブリテン盤に御賛同いただき有り難うございます。私もカーゾン/ブリテンがベストかもしれないと思います。
シフ/ヴェーグ、ピリス/ジョルダン、私も好きです。フィッシャー、ペライアは未聴です。
ハスキルは私はマルケヴィチ盤しか聞いたことがないです。マルケヴィチ盤はハスキルの晩年の録音のため、恐らく彼女のベストパフォーマンスではないのだろうと思います。