エンジェルスSQのハイドン「弦楽四重奏曲第61番『剃刀』」

今日の東京は一日中雨の肌寒い一日でした。
今話題になっている日本学術会議の任命拒否問題について一言。
学問には多様性が必要です。様々な異なった考えが存在することが必要です。そうでないと学問に進歩はありません。菅政権による6人の学者の任命拒否は学問の多様性、しいては学問の自由を脅かすものとして、厳しい批判にさらされる必要があります。

さて今日の1曲は、ハイドンの弦楽四重奏曲第61番へ短調作品55ー2「剃刀」です。
演奏はエンジェルス弦楽四重奏団です。1994〜99年の旧Philps(現在はDecca)への録音です。
ハイドンの弦楽四重奏曲作品54と55はともに計3曲で構成されており、作品54と55を合わせて「第1トスト四重奏曲」と呼ばれています。今日聴いた作品55ー2はその中の5曲目ということになります。
ちなみに「第2トスト四重奏曲」は作品64の6曲で、その中には「ひばり」というニックネームを持つ、有名な作品64ー5が含まれています。

さて今日聴いた作品55ー2「剃刀」ですが、次のような楽譜指定になっています。
第1楽章 アンダンテ
第2楽章 アレグロ
第3楽章 メヌエット〜アレグレット
第4楽章 プレスト

第1楽章が緩徐楽章で第2楽章がアレグロという通常の曲とは逆の構成です。
この第1楽章が素晴らしい出来映えなのです。パトスの感じられる悲劇的な冒頭で始まり、変奏曲形式が取られています。第1楽章が変奏曲形式とは珍しい試みですが、優美な麗しい旋律が朗々と息長く歌われていきます。ハイドンの全部で80曲以上の弦楽四重奏曲の中でも有数の1ページではないかと思うくらい、秀逸な楽章です。
第2楽章も悲しげな旋律で始まりますが、途中で転調して明朗に変わります。
第3楽章のメヌエットですが、整然とした印象を与えます。
第4楽章はプレストですが、弾けるような明るさではなく、節度と上質なユーモアが感じられる楽章です。

ハイドンの弦楽四重奏曲というと最晩年の作品76の「エルディーデェ四重奏曲」の6曲(この中に有名な「皇帝」が含まれています)が最も有名ですが、管理人の考えではハイドンは全創作期間の各時期に弦楽四重奏曲の佳曲を作曲しています。
作品76以前の中にも佳曲は多く存在していると思います。「剃刀」のニックネームで知られる本曲もかなりの佳作です。付け加えますと、本曲の前後、すなわち第60番作品55ー1と第62番作品55-3も佳曲です。特に作品55ー1は佳作だと思います。

エンジェルスSQは、現代楽器によるアメリカのカルテットです。現在は噂に上らなくなり、既に解散しているのではないかと思います。同カルテットのハイドンは10年以上前、ブログ仲間の間で好評だった覚えがあります。
本録音は、やや早めのテンポでのすっきりとしたハイドンです。流麗・軽快な演奏です。気軽に聴くことのできる演奏で、ベートーヴェンではないハイドンの弦楽四重奏曲の性質を考えると、このような演奏が曲にふさわしいように思います。

管理人はハイドンの弦楽四重奏曲が大好きで、現在では、ブルックナーの交響曲、シューベルトのピアノ曲・歌曲と並び、クラシック音楽鑑賞の中心に据えているほどです。録音もタートライSQ(Hungaroton)、エンジェルスSQ(旧Philips、現Decca)、コダーイSQ((Naxos)、ブッフベルガーSQ(Brilliant)の4種類を集めました。この中では、素朴・実直なタートライSQが一番かなと現時点では思いますが、4団体ほとんど差がなく、その日の気分でどれかを聴いています。
なお、これら4団体は全て現代楽器による演奏なので、現在Hyperionに録音中のオリジナル楽器のロンドン・ハイドン四重奏団によるハイドン全集が完成しボックス化されたら、購入しようと思っているところです。

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