ルービンシュタイン/オーマンディのラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 - ルービンシュタイン(アルトゥール), チャイコフスキー, ラフマニノフ, ラインスドルフ(エーリヒ), オーマンディ(ユージン), ルービンシュタイン(アルトゥール), ボストン交響楽団, フィラデルフィア管弦楽団
今日の東京は午前中雨が降っていましたが、午後に止み曇り空となりました。大寒の一日です。
今日はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18を聴きました。北国ロシアに生まれたラフマニノフの情緒纏綿とした作品は、今日のような寒い日にエアコンで暖まりながら聴くのによいふさわしい曲のように思ったからです。
演奏はアルトゥール・ルービンシュタイン(p)とユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団です。1971年のRCAへの録音です。
昨日ルービンシュタインとオーマンディのコンビの演奏するショパンのピアノ協奏曲第2番を聴いて、感心・感動できたことが、今日同コンビの演奏するラフマニノフを取り上げたもう一つの理由です。
本曲は急・緩・急の伝統的な3楽章構成を取ります。
ラフマニノフは管理人の見たところ、古典的な形式を崩そうとしなかった作曲家です。
第1楽章は、ロシア情緒は感じられますが、それよりもピアノの名技性が勝っているように思います。
第2楽章は映画音楽に採用されたという有名な楽章です。ロシア的情緒が濃厚に漂う情緒纏綿とした甘美な楽章です。本曲の最大の魅力はこの第2楽章にあるように思います。ややムード音楽的な側面があるように思うのですが…(そのことの善悪は別論です)。
第3楽章も、ピアノが名技を発揮するとはいえ第2楽章に続き情緒漂う甘美な曲想だと思います。
本曲でのルービンシュタインのピアノは大家ならではの風格の感じられる立派なものです。
録音当時ルービンシュタイン(1887年生まれ)は、昨日のショパンよりもさらに後年で、80台半ばという年齢に達していたわけですが、晩年の枯淡な心境を反映するかのような淡々としたピュアな演奏です。全体的にテンポは遅めです。特に本曲最大の聴きどころである第2楽章で、オーマンディ/フィラデルフィアの立派なバックの下、ゆっくりしたテンポでの演奏は立派なもので風格豊かです。高齢者が人格円満とは限りませんが、このような演奏を聴いていると、晩年のルービンシュタインが円満な人柄であったことは疑いないように思え、ルービンシュタインは良い年の取り方をしたなあと思わされます。
本曲は昔からスヴャトスラフ・リヒテルのDG盤が名盤として有名だと思います。リヒテル盤はゆっくりテンポでのロシア情緒を前面に押し出した演奏だったと思います。本ルービンシュタイン盤は、リヒテルと異なる方向での独自の個性を持った演奏だと言えます。古い演奏ではリヒテル盤と並ぶ名演なのではないでしょうか。
もっとも本曲は1980年頃から、情緒を強調せず客観的に、ピアニズム、ピアノの妙技性を強調しようとするタイプの演奏が、ウラディーミル・アシュケナージをはじめとして、多くなったように思います。本ブログでは3年ほど前にユジャ・ワン/アバド盤をエントリーしたことがありますが、ユジャ・ワン盤もそのようなタイプの演奏だったと思います。
ところで本録音では、オーマンディ/フィラデルフィア管のバックにも注目したいものです。
本曲は全曲的に、特に第2楽章・第3楽章でオーケストラが重要な役割を果たしていますが、オーマンディ/フィラデルフィアの演奏は見事です。オーマンディとラフマニノフの相性の良さを感じさせます。オーマンディ/フィラデルフィアにラフマニノフの交響曲第2番の録音が存在するのかどうか存じませんが、もし存在すればきっと名演だろうと思います。
この記事へのコメント
お早うございます
暖かかったり、寒かったりと…
ラフマニノフというと 3番を聴いてしまうことが多いです、もちろん2番も良い曲だと思うのですが…
どの世界でも同じですが、晩節を汚す方、晩年になっても耀きを失わない方、ルービンシュタインは明らかに後者でしょうね きっと努力もスゴかったと思うのですが、そんなところを微塵も見せないところが またスゴいですね
楽器の中で一番 高齢の方が多いピアニストの中でも これまで この高齢まで演奏生活を行った演奏家はルービンシュタインだけでしょうね…
オーマンディ師のスゴいところは 素晴らしい奏者を集めたことでしょうね、どのオケも欠点があるものですが、それがないのは やはり耳が良かったのでしょうね…
ラフマニノフのシンフォニーの2番 確かRCAでの録音が残されていますよ
お身体をご自愛ください
ミ(`w´彡)
rudolf2006さま
コメントを頂き、有難うございます。
>ラフマニノフというと 3番を聴いてしまうことが多いです、もちろん2番も良い曲だと思うのですが…
私も同様です。ラフマニノフは2番より3番の方をよく聴きます。ルービンシュタインが3番の録音を残さなったのは残念でしたね。
>どの世界でも同じですが、晩節を汚す方、晩年になっても耀きを失わない方、ルービンシュタインは明らかに後者でしょうね きっと努力もスゴかったと思うのですが、そんなところを微塵も見せないところが またスゴいですね
ルービンシュタインが50くらいの時、自分のテクニックに不満を持って猛練習したという話を読んだことがあります。御指摘のように努力もスゴかったのだろうと思います。
>楽器の中で一番 高齢の方が多いピアニストの中でも これまで この高齢まで演奏生活を行った演奏家はルービンシュタインだけでしょうね…
90を過ぎてピアノを弾いた人というと、ルービンシュタインの他ホルショフスキとプレスラーでしょうか。プレスラーも良いですけど、巨匠と言われるのはルービンシュタインですよね。
>オーマンディ師のスゴいところは 素晴らしい奏者を集めたことでしょうね、どのオケも欠点があるものですが、それがないのは やはり耳が良かったのでしょうね…
>ラフマニノフのシンフォニーの2番 確かRCAでの録音が残されていますよ
情報ありがとうございます。
オーマンディ師もセルみたいに大きなボックスを作ってくれればよいのに、と思います。ソニーは今、ボックスをよく作ってそのうち出るのでは、と期待しています。