鈴木優人/バッハ・コレギウム・ジャパンの演奏会(4月2日)

昨日4月2日(金)、東京・赤坂のサントリーホールで鈴木優人指揮バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の演奏会を聴きました。
曲目はJ・S・バッハ「マタイ受難曲」BWV244でした。
BCJの第142回定期演奏会です。
今週末の金土日は受難節なので、マタイ受難曲が選ばれたようです。昨日金曜は聖金曜日だったことになります。

演奏家は次の通りでした。
森麻季(ソプラノⅠ) 松井亜希(ソプラノⅡ)
久保法之(アルトⅠ) 青木洋也(アルトⅡ/証人Ⅰ)
櫻田亮(テノールⅠ/エヴァンゲリスト) 谷口洋介(テノールⅡ/証人Ⅱ)
加耒徹(バスⅠ/イエス) 加藤宏隆(バスⅡ/ペテロ)
バッハ・コレギウム・ジャパン(合唱と管弦楽)
鈴木優人(指揮)

バッハのマタイ受難曲はたいへん偉大な音楽作品です。
その内包するものの豊かさ・深さは、他に比肩するものが考えられません。強いて挙げれば聖書そのものでしょうか。
昨日の演奏会は午後6時半に始まり、20分の休憩時間を挟んで午後9時半過ぎに終わるという長丁場でしたが、その間演奏に緊張が途切れる瞬間は全くありませんでした。また聴衆が退屈するであろう瞬間も全くありませんでした。
管理人自身は本曲を、約30年前に初めて有名なリヒター盤で聴き、以降何回となく聴いていますが、にもかかわらず昨日初めて美しいと気付いた瞬間が何ヶ所かありました。例えば、第1部の最後の晩餐のシーンでのフルート・トラヴェルソの二重奏です(自信はありませんが、前田りり子さんと(鈴木優人夫人である)鶴田洋子さんだったと思います)。
たいへん充実した、濃密で感動的な三時間を過ごすことができました。

BCJが鈴木雅明さんによって設立されたのが1990年なので、今年で31年目ということになりますが、現在では世界的なバッハ演奏団体という評価を確立しているようです。2013年にBISレーベルにおいて完成したバッハの教会カンタータ全集はその最大の成果だと思います。
管理人がBCJを実演で聴くのは実は昨日が初めてだったのですが、その合奏能力の高さ、合唱団のレベルの高さに改めて驚かされました。
エヴァンゲリストの櫻田亮さんは長くBCJにおいて同役を務めている方ですが、昨日も堂々とした演奏でさすがだと思わされましたし、カウンターテナーの久保法之さんが美声で感動的でした。
ペテロの否認のシーンでペテロの苦悩と悔恨を歌う、有名な「主よ、憐れみたまえ」のアリアで、コンミスの若松夏美さんの少しユニークなヴァイオリン独奏に乗っての久保さんの独唱は、美しさと気品の高さがあって見事だと思いました。

鈴木優人さんについては、数年前まで管理人は、鈴木雅明さんの実息という以外のことは知らなかったのですが、ここ数年独自の活動をしているように思います。昨日は三時間を超える演奏時間の間、一瞬も弛緩することのない精力的な指揮でした。鈴木雅明さんは良い後継者を得たと思います。
演奏自体は昔のリヒター盤のような曲のドラマ性を強調するのではなく、流麗・平明な自然体のバッハで、イエス受難物語というナラティブとしてのマタイ受難曲を志向するものと思いましたが、どうでしょうか。
古楽器による演奏というと、開拓者であるニコラウス・アーノンクールの登場当初はアクセントの強い演奏というイメージがありましたが、BCJの演奏はそのような要素はありません。むしろ落ち着いた、良い意味で平明な演奏だと思いました。

昨日はともかく、名曲の名演を聴かせてもらったという思いでいっぱいになりました。



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この記事へのコメント

2021年04月06日 22:06
いつも、拝見させていただいています。演奏会の様子が目にうかびます。アップしていただきありがとうございます。退職後は、コンサートと思っていたのですが、毎日バタバタして、まったく行けていません。