F=ディースカウのシューベルト「白鳥の歌」

シューベルトの連作歌曲集「白鳥の歌」を聴いてみた。演奏はディートリヒ・フィッシャー=ディスカウ(バリトン)とジェラルド・ムーア(ピアノ)で、1972年3月のDGへの録音である。

周知のように「白鳥の歌」は、シューベルトの死後、出版社が遺された歌曲をまとめて連作歌曲集としたもので、元々連作ではない。しかしぼくのようにこれを何十回も繰り返し聴いていると、連作歌曲のように思えてくる。また「白鳥の歌」には名曲が多く含まれているように思う。最も有名な「セレナーデ」をはじめ、「アトラス」「漁師の歌」などである。さらにぼくはいつも、最後の方で「都会」「海辺にて」そして「影法師」と孤独感・絶望感が極限まで高まった直後、「鳩の便り」で天国を思わせるような軽やかな曲に変わるのを聴くと、言いようのない感動に襲われる。実はぼくは、この「白鳥の歌」がシューベルトの3大歌曲集のうちで最も好きというくらい好きなのである。

F=ディースカウの演奏は、その美声といい、安定した音程といい、やはり素晴らしい。シューベルト歌曲演奏の王道を行くものだと思う。この1972年録音では、心のこもった感情表現が素晴らしいと思う。ただ所々に演技過剰のように感じられる個所もないではないが…。この辺は個人の趣味の問題なのだろう。第一人者らしい安定感と貫禄が感じられる演奏だと思う。

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