アシュケナージのラフマニノフ「24の前奏曲」

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4月1日「勝手にラフマニノフの日」(当企画開始1周年を記念して)」について
明日4月1日はgarjyuさんとmiwaplanさんの共同企画「勝手にラフマニノフ」の日です。これを機にラフマニノフの「24の前奏曲」を聴いてみました。演奏はウラディーミル・アシュケナージ、1974年1月・75年4月の録音です。

24の異なる調性の作品集といえば、誰もが真っ先に連想するのはJ.S.バッハの「24の前奏曲とフーガ」(平均律クラヴィーア曲集)またはショパンの「24の前奏曲」でしょう。ショパンの影響を受けて創作されたとされるこのラフマニノフの「24の前奏曲」は、ショパンほど知名度がなく演奏される機会もありません。
ショパンの「24の前奏曲」が1曲1曲変化に富んでいるのに対し、ラフマニノフの「前奏曲」はショパンほどの変化はなく、むしろ各曲の連続性が感じられます。ショパンがおしゃれなのに対し、ラフマニノフは内省的でディープなのです。ロシアらしいメランコリーとロマンティシズムに満ち溢れています。ショパンの「24の前奏曲」が最高級のシャンパンだとすれば、ラフマニノフはウォッカのようなものです。ショパンの「前奏曲」が日がさしている時間に聴きたい音楽だとすれば、ラフマニノフの「前奏曲」は深夜に思索にふけったり、お酒を嗜みながら1人で耳を傾けたい音楽だといえるのではないでしょうか。
なおラフマニノフには個々には、ショパンの「雨だれ」ほどの名曲・有名曲はありませんが、第1番Op.3-2、第6番Op.23-5等、それなりに魅力の感じられる曲があると思います。

アシュケナージの演奏はラフマニノフを得意とした彼らしく、非常にすぐれたものです。どのようにすぐれているのかというと、ラフマニノフだからといって特別に扱うのでなく、超絶的な技巧が要求される個所でもさりげなく弾いて、ラフマニノフをロシアのローカルな音楽ではなく、スタンダードな普遍性を持つ音楽として聴かせることに成功しているように思うのです。ぼくはアシュケナージ(特に80年代までのアシュケナージ)を、やや年下のマウリツィオ・ポリーニに匹敵する技巧を持つピアニストだと思っていますが(もちろん両者の個性は全く違いますが)、このように自らの技巧を表面に出さずにスタンダードな演奏をして見せるところに、彼のおしゃれさというか、魅力を感じています。

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