バルトークSQのバルトーク「弦楽四重奏曲第1、2番」

昨日までは残暑の厳しい日が続いたが、今日、急に涼しくなった。どうやら今日から本格的な秋に突入したのだろう。

今日はベラ・バルトークの弦楽四重奏曲第1番と第2番を聴いてみた。演奏はバルトークSQで、1991年6月5日から10日にかけてPONY CANYONレーベルへの録音である。録音場所は日本の富山県の入善コスモホールである。バルトークSQは、バルトークの弦楽四重奏曲全6曲を1970年代に録音している(ERATOへの録音だったと記憶しているが、記憶違いかもしれない。なおこの初回録音はまだCD化されていないように思う)ので、今日聴いたのは再録音だということになる。

バルトークは生涯にわたって弦楽四重奏曲を作曲した。最初の第1番は1909年、28歳の作だが、最後の第6番は1939年で58歳、米国に渡る直前の作である。したがって、6曲とも彼の作風の変遷をそのまま反映した作品となっている。今日聴いたのは28歳の時の第1番と36歳の時の第2番だから、彼の青年期の作だということになる。

第1番・第2番とも3楽章編成となっている。第1番は
 第1楽章 レント
 第2楽章 アレグレット
 第3楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ
となっており、楽章ごとにテンポが早くなっている。第1楽章はベートーヴェンの第14番を思わせるような幽玄さと、ドビュッシーら印象派のような要素を併せもったような感がある。ところが第2楽章に入るとハンガリーの民俗的は色彩が現れ、第3楽章に入ると民俗的な要素が全面的に開花する。

第2番の方は
 第1楽章 モデラート
 第2楽章 アレグロ・モルト・カプリチョーソ
 第3楽章 レント
となり、第2楽章が急速楽章で、終楽章が緩徐楽章という変わりようだ。ライナーノート(石田一志)によると、ハンガリーの作曲家コダーイはこれら3楽章をそれぞれ「静かな生活」「喜び」「悲しみ」と呼んだという。たしかに第1楽章は前衛性が強く感じられるものの基本的には穏やかだし、第2楽章は高揚感が強い。第3楽章は第1ヴァイオリンが悲痛な旋律を奏でている。

こうして聴いてみると、これら2曲はかなりの傑作なのではないだろうか。ベートーヴェンでは(ショスタコーヴィチも)初期の弦楽四重奏曲は、中期・後期に比べて落ちると評されているが、バルトークの場合は6曲それぞれが個性的ではあるものの、そのいずれがもっとも優れているとは一概にいえないように思う。

ところで、これらバルトークの6曲の弦楽四重奏曲はショスタコーヴィチの15曲と並び、20世紀の代表的な弦楽四重奏曲だとみなされているようだ。実演の機会も多いが、録音も多い。ハンガリー系の団体はもちろん、トイツ・オーストリアのアルバン・ベルクSQ、ハーゲンSQ、イギリスのリンゼイSQ、アメリカのジュリアードSQ、エマーソンSQ、日本の東京SQと、有名どころは皆、録音している。

この中で今日聴いたバルトークSQの演奏は、その名を冠しただけあって、作品を完全に手中に収めたというか、充実した演奏だと思う。この団体はハンガリーらしく、リズミカルでアタックの鋭い演奏をするという個性を持ったいたが、この録音では意外に(?)落ち着いている。自らの最後の録音になることを自覚していたのだろう。むしろ、しみじみとした印象を受ける名演だと思う。

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